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戦略人事:政府の思惑と現場の思惑の温度差(リストラと高齢者の雇用延長)

戦略人事:政府の思惑と現場の思惑の温度差(リストラと高齢者の雇用延長)

■人事制度と人事施策

ここ数年、働き方改革の一環であろうか、定年延長の話題が取り上げられている。
65歳以上の雇用について問いかけると生成AIは以下のように回答する。

・65歳までの雇用確保の義務化
企業には、2025年4月以降、65歳までの雇用確保が義務づけられます。これは、2013年に施行された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」によるもので、定年を超えても働き続けたいと希望する従業員全員を65歳まで雇用する必要があります。ただし、この制度は65歳までの定年延長の義務化ではなく、「65歳までの定年引き上げ」「定年制の廃止」「65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入」のいずれかを導入すればよいので注意が必要です

・70歳までの雇用確保の努力義務化
70歳までの雇用確保の努力義務化は、2021年4月1日に施行された改正高年齢者雇用安定法によるものです。この法改正により、企業には65歳までの雇用確保が義務付けられたほか、65歳から70歳までの就業機会を確保するための施策を講じる努力義務が課されました。

当然、これに対応するように人事制度を改訂し、多くは嘱託での再雇用というスタイルが多いと聞く。おそらくは、定年という概念の撤廃が今後の趨勢になってゆくだろう。しかし、単純に余剰人員を抱えてゆくという余裕は企業にはないだろう。

○住友ファーマ、早期退職募集700人 国内社員数の2割
2024年7月31日

住友ファーマは31日、国内社員を対象に早期退職を募ると発表した。対象となるのは2024年11月30日時点で勤続年数が5年以上の40歳以上の従業員。募集人数は約700人で、国内社員数の約2割に相当する。同社は米国で主力の統合失調症薬が特許切れとなり、業績が悪化している。研究開発体制を縮小するなど経営のスリム化を急ぐ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC30C3Q0Q4A730C2000000/

1990年代のバブル崩壊の時には戦略性もなのもなく、高給取りの割りにお荷物になりかねない管理職を放り出すという暴挙を繰り返していたが、今は、その対象が40歳以上と「ロートル」とおぼしき人々をターゲットにしている。

しかし、こうした人の中には「沈没船から逃げ出すネズミ」もおり、優秀な人材もいるだろう。そうでないにしても人的資本の流失は企業にとって良いことではない。

にもかかわらず、企業業績に応じた人事施策をとらざるを得ず、雇用延長という人事制度の維持と矛盾することになる。

■2024年問題と人手不足

業績が悪化した事による人員整理は、ここ数年の趨勢として盛んに行なわれている。しかし、人というのが企業の活動に欠かせないという事は自明であり、いったん離れた人間を再度呼び戻す機構がない今の状況では、いざ人が欲しいと云っても集まらないと云うことが企業を苦しめかねない。

2024年問題と人手不足問題はすべての企業にとって喫緊の課題であろう。
そこで重要となるのは、人材の流動化と遊休人材の管理になるだろう。

遊休人材の管理とは、いったん企業から離れた人材が再び希望する仕事に就けるような環境と仕事に就いていない間での学習機会の確保などが含まれる。

企業をリストラされた人々が直ちに次の就職先を探さなければならないと言う不安定な環境は、社会から見たときの適材適所を失わせかねない。

そのためには、リストラされたとしても一定の生活保障を行ない、その期間に収入がなくても生活ができ学習する機会を確保できることが望ましい。

現在の失業保険では条件が厳しすぎる上に、目的が学習の機会の提供ではなく早い再就職の促進であろう。それだけでは不足である。一案として、現在はあまり議論されていないが「ベーシックインカム」と併用することも考えてはどうだろうか。

中々うまくいっていないが、実験だけは行なわれているようなので参考にしてはどうだろう。

○世界初の本格的なベーシック・インカム調査の結果が明らかに…そこから導き出された「シンプルな結論」とは
2024.07.30

その発起人はアルトマン氏だ。同氏はAIが今後引き起こす雇用破壊のセーフティネットとしてUBIを捉えており、その効果を見積もるための実験として今回の調査を思い立ったとされる。

https://gendai.media/articles/-/134628

希望すれば優先的に復帰できる。
生活保障がされているのでリスクリに挑戦できる。

こうならないかなぁ・・・

2024/08/02

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