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世間に転がる意味不明:働き方の多様性は社会をどう変えるのか(それでいいんだよといえる社会が望ましい)

■街角の風景と統計データ

職を求めて人があふれる風景と言えば1929年の世界恐慌や戦後の日本の不況の風景が思い起こされる。近年でいえば日比谷公園での炊き出しの風景だろうか。こうした光景は目にする機会がない。私があまり外出しないせいだろうか。いわゆるホームレス(浮浪者)も見ることがなくなった。

それでも日本の景気が良いとは思えない。

○2024年の「休廃業・解散」、過去最多の6.26万件 高齢代表者の退出が加速、赤字率は過去最悪に
2025/01/11

 2024年の「休廃業・解散」した企業(以下、休廃業企業)は、6万2,695件(前年比25.9%増)と初めて6万件を突破した。2000年に調査を開始以来、最多の2023年(4万9,788件)を超え、過去最多を更新した。
 コロナ禍の手厚い支援が終了し、事業継続の再考が促されたことに加え、代表者の高齢化などが背景にある。また、事業再生ガイドラインなど「円滑な廃業」に向けた取り組みが動き出し、件数を底上げしたとみられる。

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200854_1527.html

しかし、不思議な統計データもある。
廃業が多くなれば失業者が増えるのではと推測されるがマクロデータではあまり変動はない。

○労働力調査(基本集計) 2024年(令和6年)11月分結果
2024年12月27日公表
      年平均            月次(季節調整値)
        2021年 2022年 2023年    2024年8月  9月 10月 11月
完全失業率 2.8% 2.6% 2.6%    2.5%  2.4% 2.5% 2.5%
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html

2024年問題で象徴されるように人手不足がある事は有効求人倍率が高止まりしていることからも推定される。

○図14 有効求人倍率、新規求人倍率(四半期平均、季調値 1963年第1四半期~2024年第3四半期

有効求人倍率   1.24  ※比較的高い
新規有効求人倍率 2.26

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0214.html

様々な統計データや企業動向の記事を見ると、

①優秀な人材は欲しており、調達が難しい
②そのため処遇は高くして獲得競争に励んでいる
③一方で早期退職の勧告は積極的であり40歳以上がターゲットになっている

人材の流動化は進んでおり転職市場も活発だと聞く。
企業は、本格的な人材の流動化に備え人事制度も改革してゆくのだと想像される。
下記などは、局所的な話題として捉えるべきではない。

○初任給引き上げ、30万円台続々 人材獲得競争が激化―大手企業
2025年01月12日

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは今年3月入社の新卒社員の初任給を3万円増やし33万円に、年収も1割増の500万円強とする。改定は2年ぶりで、柳井正会長兼社長は「世界水準で働く意欲や能力のある優秀な人材の抜てきを強化する」と強調する。

 金融機関では、東京海上日動火災保険が来年4月、転勤と転居を伴う場合の大卒で最大約41万円に増やす。三井住友銀行も3年ぶりの引き上げで来年4月入行の初任給を30万円に。大卒では4.5万円増額となる。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025011100426

■働き方の多様化

よく云われることであるが、正社員と非正規社員の年収差は大きいと言われ、そうしたことの調査結果もある。

○フリーターと正社員の生涯年収格差
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002790h-att/2r98520000027bo1.pdf

いわゆる正社員に対して、それ以外は安定が保証されていないので不利である事は否めない。また未就業者という意味では就職氷河期の人々もあり、潜在的な貧困層はかなりいるのではと危惧する。

では、悲観的なのかと言えばそうとまでは言えない。

一つ目は「起業」のしやすさであろう。

○2024年の起業トレンドは?都道府県別ランキングで見る最新動向/SalesNow DBレポート 2024年12月24日
2024年の日本全国における起業数は142,318件に達し、東京都を筆頭に大都市圏が起業活動の中心となりました。 一方、地方都市や小規模な県でも確実に新しいビジネスが生まれています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001040.000049221.html

会社法は大きく変わり、少額資本であっても法人化はたやすく、また政府からの補助金なども後押ししているだろう。

また転職のハードルの低さも社会の情勢を変えているのではないか。
かつての転職は情報もなく、ヘッドハンティングに頼るなどの偶然性が支配していた。今は違う。

○転職サービス「doda」、「転職市場予測2025上半期」発表 13分野で求人が増加または好調維持の見込み
2025.1.7

2025年上半期において、求人が増加すると予測されるのは電気・機械、不動産・建設、金融、メディカル、営業、人事、経理、法務、販売・サービス、クリエイティブ、食品の11分野。また、IT・通信および化学・素材の2分野では好調を維持する見込みだ。一方、企画・マーケティングと事務・アシスタントの2分野では、求人の横ばいが予想されている。

こうした採用意欲の高まりの背景には、以下の3つの要因が挙げられるという。

(1)団塊ジュニア世代の定年退職を見据えた労働力不足への対応。
(2)働き方改革の推進による業務効率化や業務分担の加速。
(3)新規事業創出や既存事業拡大に伴う中途採用の増加。

https://ampmedia.jp/2025/01/07/doda-market-2025/

■自分の生き方を自分で選ぶ

もちろん日々の糧は必要であるし、明日の心配をしないで済むならそれはそれで良い。
しかし考えてみて欲しい。
40年近くも、朝から晩まで「会社」に拘束される人世をどう受け止めたら良いのだろう。
40歳を過ぎたときに会社から不要と突きつけられる屈辱は耐えられるのだろうか。
もちろん多くの人はそんなことはなく無事に過ごせるだろう。

もしあなたがすでにそうした正社員でなくなっていたら自分にこう声をかけよう。

「それでいいんだよ」

なぜなら未来は誰にも分からないからだ。
運や縁に任せてどこかの企業に勤めても良いし、常に転職を繰り返しても良い。思いつきで起業しても良い。道徳さえ守れば目先のお金の為に働いても良いし、採算抜きで何かをしても良い。

企業も覚悟を決めるべきである。
様々な価値観で働く人々を受け入れよう。
単に銭勘定だけで人々に接するべきではない。

見捨てられるのはあなた方の方かもしれない。

2025/01/13

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