世間に転がる意味不明:20日締めの翌々月末払い(中小企業の賃上げを拒むもの)
世間に転がる意味不明:20日締めの翌々月末払い(中小企業の賃上げを拒むもの)
■理不尽な手形決済
あーそういえばそんなものがあったのかと思い出す記事
○約束手形の決済期限を約60年ぶり改正、120日から60日に…中小企業の設備投資・賃上げ後押し
2024/02/26
政府は、取引の後払いに使う約束手形の運用を約60年ぶりに改める。決済期限を従来の原則120日から60日に厳格化する下請法の運用見直し案を月内にも公表する方針だ。中小企業は人手不足や物価高で経営が厳しくなっており、資金繰りを圧迫する日本独特の商慣習を見直すことで、設備投資や賃上げを後押しする。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240225-OYT1T50130/
約束手形の弊害は以下のような記事の記載でも分かる。
「約束手形は通常、発行する大企業は支払いを猶予できるが、受け取り側の中小企業は数か月にわたって現金にできない。期限を前倒しして受け取る際は、割引料が引かれ、売り上げが実質的に減る。手形の決済を待つ間に当座の運転資金の確保に迫られ、借金をするケースも少なくない。資金繰りを懸念し、設備投資や賃上げをためらう要因にもなっている。」
上記では120日となっているが、記憶では半年後の手形もあった気がする。
仕事をしたのに、その報酬をもらえるのが数ヶ月後である。
これでは手元資金を十分に持てない中小企業は賃上げどころの騒ぎではない。
60日でも十分とは言えない。
なぜなら、仕事をした月には検収の事情で請求書が出せずに翌月になったとすると、受け取りから60日後というと、やはり3ヶ月は入金がないと考えた方が良い。
私自身は、起業したときに「20日締めの翌々月末払い」で苦しめられた。月末に請求書を出しても(たとえば4月末)、入金は3ヶ月後(7月末)になるからだ。したがって内部留保は3ヶ月はないと事業がまわらない。
中小企業の財務状況を悪化させる要因になる。
60日とは言わず、翌月払いにしてほしいものだ。
先日、家のリフォームをしたら請求書は翌週に来た。
仕事が終わったらすぐに支払って欲しいのはどこも同じで在る。
■社会との調和
「情けは人のためならず」を実戦すべきであろう。
現代のビジネスモデルは、他者にリスクを押しつけることで成り立っている面が強い。
農業や土木建設業などが外国人労働者がいなくなった途端に成り立たなくなったのはコロナ渦で明らかになったことである。
また、飲食業や宿泊業も低賃金の人材の奪い合いの結果であれば同情の余地はない。
およそ企業の運営をする責任者は社会的な責務に敏感になるべきである。
○スピード感に欠ける手形決済、政府目標は26年までの廃止「何か月も資金凍結」「アンフェアな慣習」
2024/02/26
約束手形の決済期限を60日とする下請法の運用見直し案が月内にも示される。現金振り込みが定着する欧米に比べると決済にかかる時間は長く、国内取引はスピード感に欠ける。2026年までに約束手形の廃止を掲げる政府の目標に対し、現場への浸透も十分だとはいえない。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240225-OYT1T50148/
こうした他者に責任を押しつける構造の是正には政府も動いていると考えた方が良い。
○物流、多重下請けの是正へ 元請けに管理簿作成を義務化
2024/02/13
政府は13日、トラック運転手の残業規制適用で物流の停滞が懸念される「2024年問題」への対応策を盛り込んだ関連法改正案を閣議決定した。低賃金の一因となる多重下請けの弊害を是正するため、元請けの運送業者に下請け状況が分かる管理簿の作成を義務付ける。荷主に荷待ち時間削減を促し、最大100万円の罰金を科す規定も設ける。運転手が適正な運賃を受け取れる環境づくりや長時間労働の改善につなげる。
https://nordot.app/1129923001572787192
○荷待ち削減の計画義務化、物流2法案閣議決定 24年問題
2024年2月13日
政府は13日、トラック運転手が不足する「2024年問題」に対応する物流関連2法の改正案を閣議決定した。事業者に運転手の荷待ち時間を減らす計画の作成を義務付け、違反すれば最大で100万円の罰金を科す。運輸業務の委託を重ねる「多重下請け」も是正する。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA130QB0T10C24A2000000/
まだ法律になっていないにしても「行政からの命令」であることを自覚すべきである。
あなたが法律を守らないなら他者が法律を守らないことに異議を唱えることはできない。
他者を踏みつけることで事業を成り立たせているならば是正すべきである。
同じ闇の世界に入らないことを目指そう。
(2024/02/27)