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世間に転がる意味不明:デジタル化の向かう先(潮流は分かるがメリットは何か)
どのように評価して良いか分からないので備忘録として。
■目をひいた記事
先日、以下の記事が目にとまった。
○リクルート、給与デジタル払いを開始 「即払い」は採用に効く
2025年1月16日
リクルートは、給与支払いサービス「Air ワーク給与支払」で、1月16日から賃金のデジタル払い(資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払)への対応を開始する。これにより、「Air ワーク 給与支払」を利用する企業の従業員は、企業が労使協定を締結すれば、スマホアプリ「エアウォレット」で給与の一部を好きなタイミングで受け取れるようになる。
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1654912.html
注:資金移動業者のサービスには、次のようなものがあります。au PAY送金・出金サービス、SBIレミット 国際送金サービス、PayPay(ペイペイ)、 LINEペイ。
給与のデジタル払いの話題はかなり以前に見た記憶があり、検索してみると下記の記事が比較的初期の頃のものなのかと思われる。
○デジタル給与23年春解禁へ 口座上限100万円で全額保証
2022年9月13日
給与のデジタル払いは東京都などが外国人向けなどとして規制緩和を求めた2018年ごろから議論が始まった。政府は19年以降、成長戦略などで全労働者を対象にデジタル払いを検討する方針を示した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA132U50T10C22A9000000/
私の記憶では、2018年頃は外国人労働者が急増しており、彼らが銀行口座を持ちにくいことや日々の政活費が必要であり日々の精算がしやすい環境の整備が求められていたと言う状況だった。これが規制緩和の後押しになっていたのではなかったのだろうか。
■誰のメリットがあるのか
厚生労働省の「外国人雇用状況」を見れば、相変わらず外国人労働者は増加しており、実際、飲食店、コンビニだけでなく生産現場でも普通に"外国人"が働いている。一方で、すでに滞在証明者が必要などの一定の制約はあるものの外国人であっても銀行口座は持ち得る環境になっている。もちろん、不法滞在者は除外であろうし、悪名高き技能実習生の問題もある。
それでも、給与のデジタル払いが彼らの福音になるとは思えない。
印象の話だが、この5年間でどんな変化があったのだろうか。
一番の変化は、現金を使わなくなったことではないだろうか。
もうすでに切符を自販機で現金を入れて購入することも窓口で購入することも無くなっている。交通系IC協会カードで入場するし、買い物の多くはこれで済ます。大口の買い物はクレジットでするし、小口のモノはQR決裁で済ますことも多くなった。
もちろん、銀行口座を通さないで支払わなければその分の手数料は手に入らないかもしれないが、すでに銀行はATMの廃止の方向に動いており、実店舗の縮小、ネットバンキングの推進などに舵を切っており。現ナマが飛び交う世界から手を引きたいだろうからこうした給与のデジタル払いも歓迎であろうし、資金移動業者として活動し始めるかもしれない。
政府にとってもメリットがあるだろう
かつて、アルバイトや短期の役務提供などは現金で支払われることが多かった。
私も学生のころ「マネキン」をしたこともあるし、調査員として地方に出向いたことがある。報酬は現金であるが、受け取りにサインしたかどうかまでは記憶にない。当然税金アドは払っていない。
これがデジタル管理されれば脱税がしにくくなるだろう。
これが目当てであれば、ここに来て解禁を急いでいる理由も分かる。
■差別化に使える?
先日出張で地方都市に出向いた。ターミナル駅から少し離れていたせいもあり、あまり店を選べる状況になかった。入った店は料理がおいしく、店も騒がしくないなど久しぶりにくつろいだ。
もっとも値段が少しお高めなのが残念かな。
精算しようとして、クレジットカードを出そうとしたら「うちは現金だけです」と言われすこし驚いた。
そういえば、最近はターミナル駅近辺の飲食店はどこも混んでおり、過日訪れた地方都市は外国人だらけで店が開いていなかった。少し探したら比較的すいている店があったので入店して料理を楽しんだ。値段はそれほど高くもなく不思議だなと思ったら、入り口に「当店は現金のみです」と大きく張り出されていた。
なるほど、PayPayしか持っていないお客は入れないし、この時代あまり現金を持ち歩かない人は敷居が高いかもしれない。
明確に、入り口付近でフィルターをかければ客数をコントロールできるかもしれない。
ゆったり食事ができる店という差別化もあり得る。
2025/01/25