世間に転がる意味不明:リストラの不思議(人を大切にしない企業の行く末)
■2024年のリストラのニュースが止らない
日産が業績不振に陥っていることは知っていたが、その責を従業員のリストラという形で対応するのには驚いた。
○日産、9000人削減へ--営業利益も純利益も9割減、通期でも7割下方修正
2024年11月07日
一般管理費を中心とした固定費や原材料価格、取引先パートナーへの補償費用発生などによる変動費、在庫削減や競争環境に対応するためのインセンティブなどの増加に加え、米企業のように顧客ニーズに応える商品をタイムリーに提供できてないことなどを課題に挙げた。
https://japan.cnet.com/article/35225876/
同様の記事はブルームバーグや時事通信でも報じている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-07/SMKO2PT0AFB4
https://nordot.app/1227168132254400780
日産自動車 内田誠 社長
「このような厳しい状況を迎えていることは私自身、痛恨の極みです。世界13万人以上の従業員とその家族の生活を預かる身として、責任を痛感します」
と言う報道もあるが、責任を痛感してもリストラで対応すると言うことは既定路線なのだろう。なんとも軽い「経営責任」と感じてしまう。
「稼いでこい」と叫び、思うように行かなければ「お前たちが悪い」と責め立てる経営者について行く気はしない。
■日常化するリストラ
しかし、抗した傾向は多くの企業でも見て取れる。
下記の様な記事は、今では特別なものではないだろう。
○リコー、2024年度上期は増収減益 約1000人の希望退職実施で利益計画を下方修正
2024年11月8日
「利益成長に加えて、ソフトウェアを中心としたアセットライト経営を追求し、バランスシートの改善も図る。これにより、持続的にROEの改善につなげるというのがシナリオである。企業価値向上プロジェクトは、バリューチェーン全体で構造改革を行うものであり、2024年度はこれを遂行する1年と位置づけた。2025年度には、その果実を確実に刈り取っていく」と語った。
同社が9月12日に発表した国内セカンドキャリア支援制度は、2025年2月28日までに、1000人程度の人員を募集。
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1638115.html
今はまだリストラに手を付けていないようだが、業績の悪化は予兆になるかもしれない。
○ヤマトHD赤字111億円 ネット通販の荷物振るわず
2024/11/05
宅配便大手ヤマトホールディングス(HD)が5日発表した2024年9月中間連結決算は、純損益が111億円の赤字(前年同期は53億円の黒字)だった。インターネット通販の荷物量が伸び悩んだほか、荷物の単価が想定を下回ったことが響いた。中間決算での赤字は19年以来となる。
小口の法人も振るわず、人件費の増加や貨物専用機の先行投資も重荷となった。売上高は前年同期比3.0%減の8404億円だった。
https://nordot.app/1226469227289379595
○コニカミノルタ、今期営業損益赤字に修正 米遺伝子検査企業を売却
2024年11月5日
コニカミノルタ(4902.T), opens new tabは5日、2025年3月期の連結営業損益(国際会計基準)予想を140億円の赤字に下方修正したと発表した。従来は130億円の黒字を見込んでおり、一転赤字予想となる。中期経営計画で掲げた戦略課題の加速や一部事業の減損リスク織り込みなどによる一過性費用として、約290億円を新たに業績予想に反映させた。
https://jp.reuters.com/markets/world-indices/4NMT7AWITZOYLKAPLMHPKYD76Y-2024-11-05/
■本格化するリストラ
1990年代までは終身雇用がなんとなく補償されていたという幻想があったのだと思う。それが、まずは(役に立たないと思われた)管理職が追い出し部屋にとじ込まれ退職を強制された、しかし、この時はまだ限定的であっただろうが、今はそうも云っていられない。
リストラの対象は40歳以上と言うことが定説だが、いまは部門毎売却する。
年齢などは関係なくなっているのではないか。
これは企業の行く末を二分する。
経営資源にはヒト・モノ・カネがあると言う。その時に代替ができず、また伸びしろが変わるのはヒトである。
戦争でヒトが死ぬと、新たなヒトの補充に20年かかる。死んだ人間は生き返らないからだ。同じことは企業にも言える。捨ててしまった人間の替わりは、仮に人材の流動化が進んでも必ずタイムラグと組織能力のばらつきを発生させる。
簡単にヒトを切り捨て、必要な人材を八百屋で買ってくるように調達する企業に短期的な業績は見込めるかもしれないがレジリエンスが獲得テ来た組織にはなり得ない。
ヒトを大事にしない企業がお客様を大事にできるとは思えない。
閑話休題
2024/11/10
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