見出し画像

世間に転がる意味不明:廃鶏と言う言葉の衝撃(矛盾する思い)

■廃鶏と言う言葉

何かの番組であっただろうか、「廃鶏」について取り上げていた。食の問題の一環だったと思う。聞き慣れない言葉なのでGoogleに聞いてみた。

 卵を産まなくなった鶏は「廃鶏」と呼ばれ、主にペットフードや加工食品の原料などに利用されます。
 廃鶏は肉用鶏に比べて産肉性が乏しく、肉質も悪いことから、そのほとんどは用途がなく産業廃棄物化しています。
 ニワトリの寿命は10~20年ですが、産卵個数は年々減少し7~8年でほぼ停止するといわれています。養鶏場では、年をとってタマゴを産めなくなるまでニワトリを飼うことはありません。

とある。7-8年かと思ったが、実際は2-3年だという記事もある。

○ワタナベファームの産みたて卵をいつでも食べてもらいたい!

生まれたばかりのヒヨコが入雛(にゅうすう)してから「小雛」「中雛」「大雛」と成長して「成鶏」になって卵を産み始めるまでには4~5ヶ月かかります。
産み始めの頃は殻がツルツルできれいな卵ばかりですが、歳をとるにつれて卵殻に異常がある卵が増え、そういう卵は味は同じでも商品として出せないため、産み始めてから約2年ほどでアウトするのが採卵鶏のサイクルです。

https://readyfor.jp/projects/watanabefarm-daisy/announcements/80264

食というのは、結局他者の命を奪うことで成立せざるを得ないことは分かっているものの、工業製品のように取り扱われることには、なんとなく気持ちが引っかかる。

■アニマルウェルフェア

記憶だが、欧米から「アニマルウェルフェア」を求められた際に、それでは経営が立ちゆかなくなるとして養鶏を営む業界団体が反対し汚職事件に発展したことが思い出される。

○アニマルウェルフェアとは? 日本と世界の現状、企業の取り組み、SDGsとの関係性をわかりやすく解説!
2024年07月30日

「アニマルウェルフェアとは、動物が生活及び死亡する環境と関連する動物の身体的及び心理的状態をいう。」
WOAH(2022年に略称をOIEからWOAHに変更)は、1924年にパリで家畜伝染病予防および研究の中央機関として発足した、世界の動物衛生の向上を目的とする機関です。日本は1930年に加盟し、現在182の国と地域が参加しています。

一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会では、もう少しわかりやすく、「感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な暮らしができる飼育方法をめざす畜産のあり方」と表現されています。

https://sdgs.kodansha.co.jp/news/knowledge/47339/

これは今の厩舎に閉じ込めて動けなくさせ卵を産ませる仕組み自体が鶏のストレスふ化を無視するものであり、平飼いが望ましいという論点に発展しうる考え方であろう。しかし、鶏のライフサイクルすなわち誕生して老齢になり自然に地に変えると言うことを無視して産業が成り立っており、結局農林水産業も、飼育に特化した視点でしか「アニマルウェルフェア」を見ていない。

「アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針」に関する生産現場における取組状況について(令和5年度に実施した試行調査の結果)~ブロイラー~
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/attach/pdf/230726-57.pdf

それを監視するのが「動物愛護団体」というのは問題のすり替えである。

○アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の徹底について(農林水産省)
令和5年3月29日

農林水産省では、都道府県※1等の御協力の下、アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の普及を図っているところです。 このような中、今般、動物愛護団体から当省に対し、公的機関における家畜への虐待行為が疑われる事案について情報提供がありました。具体的には、「牛の除角の際に、牛の顔を足で踏んで保定する」、「木の棒で牛の乳房を突いて誘導する」、「泥濘化した排せつ物の上で牛を飼育する」、「炎天下の中で日陰を用意せずに牛を飼育する」等の不適切な家畜の飼養管理が行われていることを示す資料が提供されました。

https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/attach/pdf/animal_welfare-7.pdf

■現実問題の食糧の供給

とはいえ、現実「鶏」の境遇などが配慮されているとは思えない。
例えば、鳥インフルエンザは感染したら「治療」ではなく「処分」である、

○岐阜 本巣の養鶏場で鳥インフル検出 約1万5000羽の処分進める
2024年11月19日

岐阜県によりますと、本巣市の養鶏場で18日、ニワトリ12羽が死んでいるのが見つかり、遺伝子検査を行ったところ、高病原性の鳥インフルエンザウイルスが検出されたということです。

これを受けて岐阜県は19日午前、緊急の会議を開き、24時間以内にこの養鶏場のすべてのニワトリおよそ1万5000羽を処分することや、消毒などの防疫措置を11月22日までに終わらせることを確認しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241119/k10014642831000.html

しかし、これで鶏卵の不足や鶏肉の不足などが問題になるなどと言うことを聞いたことはない。不思議に思い、「ひよこの供給」についてGoogleに聞くと以下の回答がある。

・岩村養鶏株式会社は、1日に最大17万羽のひよこを生産できる国内トップクラスの生産能力を有しています。
・孵化場では、生まれたひよこをその日のうちにオスとメスに分ける「鑑別」が行われます。鑑別には、肛門を開いて確認する「肛門鑑別」や、羽の特徴を比べる「翼羽鑑別」などがあります。
・世界では年間60億羽のオスのひよこが殺処分されています。日本では年間1億羽ほどのオスのひよこが殺処分されています

大量生産・大量消費を前提としたシステムに組み込まれている現実にアニマルウェルフェアや廃鶏に関する問題意識はどう向き合うべきなのかが分からない。

出口の見えない問題だった。

2024/11/19

いいなと思ったら応援しよう!