ISO9001と経営:マネジメントレビュー(パソコン出荷台数の落ち込み)
■未来を約束する市場は存在しない
どんな企業であろうと、勝算がなければ、その事業をしようとは思わないだろう。しかし、そうしたリスクを踏まえ、踏み出せる企業と踏み出せない企業がある。まずはやってみることを重視するのであれば、以下のような事態は、当事者にはたいしたことではないのかもしれない。
○世界パソコン市場、過去最大の落ち込み 出荷台数のプラス成長、今年は見込めない
2023.1.17
米調査会社のガートナーによると、22年10~12月期の世界パソコン出荷台数は1年前と比べて28.5%減少した。これはガートナーが統計を取り始めた1990年代半ば以降最大の減少幅。
ガートナーのデータでは22年10~12月期の世界パソコン出荷台数は6530万台。IDCのデータでは6720万台だった。ガートナーによると、22年の年間出荷台数は2億8620万台で、前年比16.2%減。こちらも同社が統計を取り始めて以降最大の減少幅だ。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73544
パソコン、スマホは売れ続けるわけもなく、そうした市場との付き合い方は戦略的になる必要がある。それを怠れば、突然の業績悪化に見舞われる。
端的な事例を二つほどあげておく。
○中国製スマホが「中国で売れなくなった」訳、頼みの“折りたたみモデル”も空振り
2023.1.26
Xiaomi、OPPO、そしてHuawei――。中国のスマートフォンメーカーは、中国国内だけでなく世界中でファンを増やしてきた。
だが皮肉なことに、肝心の中国市場で、中国メーカーのスマホが売れなくなっているのをご存じだろうか。
市場調査会社のCINNO Researchによれば、22年の中国市場のスマホ販売台数は前年比19.0%減の2億5500万台となり、この8年ではじめて3億台を割り込む年となった。
https://diamond.jp/articles/-/316402
○サムスン電子の2022年業績が急降下、韓国経済に与える負の影響を解説
2023.1.17
足元、韓国サムスン電子の業績が急激に悪化している。2022年10~12月期(第4四半期)の決算速報によると、営業利益は4.3兆ウォン(1円=10ウォン換算で4300億円)に減少した。
背景にはいくつかの要因がある。中でも、世界的なメモリー半導体の市況悪化は大きい。加えて、スマートフォンなどこれまでのサムスン電子の成長を支えたITデバイスなどの需要も減少した。今後の状況はさらに厳しさを増すだろう。
https://diamond.jp/articles/-/316121
未来は誰にも分からない。
だからこそ、市場の動きに敏感になり、立ち位置を変えなければならない。
■変化に注意深くなること
ISO9001には「マネジメントレビュー」という要求事項があり、下記の様に示されている。
トップマネジメントは,組織の品質マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当かつ有効で更に組織の戦略的な方向性と一致していることを確実にするために,・・・
次の事項を考慮して計画し,実施しなければならない。
・・・
b) 品質マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題の変化
すなわち、自社を取り巻く環境を常に監視することが、企業の永続的発展に有益であるコトを示している。
当然、これを対処しなければ足下が揺らぐのは、海外の企業だけでなく、国内の企業であっても例外ではない。
○日本電産、業績急悪化に潜んだ巨額買収のツケ
ヨーロッパ買収企業が顧客とトラブル、損失に
パソコンのハードディスク市場の急速な縮小や中国でのロックダウンによる影響などで市場環境が急速に悪化しているとして、第3四半期に128億円、第4四半期には500億円を投じて収益構造を改善するための改革に乗り出すという。
■未来の可能性
未来を悲観的に見るか希望を持ってみるかは貴方次第である。
○iPhone上位機種が特に売れない…減少する携帯端末出荷、今後も低迷のワケ
物価高・円安響く
2023年01月19日
携帯電話販売代理店大手のティーガイアは、23年度以降の携帯端末販売の見通しを「今後、伸びることはない。特に機種変更の需要が減っている」と明言。MM総研は、26年度の国内携帯電話端末の出荷台数を21年度比19・3%減の2955万台と予測する。
携帯端末が減少したからと言って、いったん人と人とのコミュニケーションの可能性を知った人々が以前に戻るわけではない。
ISO9001は変化を無視するなと言う。ではその先は何があるのだろう。
それは貴方次第である。
<閑話休題>
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