世間に転がる意味不明:下請け・業者を食い物にする人々(無関心・無責任の恐怖)
■相変わらずのニュース
不況だけではない。下請法や法に対する無知が原因の下請けいじめの記事は続く。
○農家「減収避けられぬ」 インボイス巡るJTの「通告」に公取委注意
2023年8月26日
10月に始まるインボイス(適格請求書)制度をめぐり、日本たばこ産業(JT、東京)が葉タバコの生産農家に一方的に取引価格の引き下げを通告したとして、公正取引委員会から注意を受けていたことがわかった。
https://www.asahi.com/articles/ASR8T3SJCR8QOXIE00Z.html
同様の記事は他にもある。
○オーケー、値下げ分を業者に穴埋め要求 公取委が一時調査
2023/8/10
公正取引委員会は10日、ディスカウントスーパー大手のオーケー(横浜市)が商品の値下げ分の一部を納入業者に穴埋めさせていたとして、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで調査していたことを明らかにした。
取引先に便益を求めること自体は古くからあり、家電量販店がメーカーの販売員の派遣を要請していた時代もあった。
○公取委がメス ヤマダ電機に逆風
2007/05/23
破竹の勢いで成長を続ける家電量販最大手のヤマダ電機に待ったがかかった。5月10日、公正取引委員会(公取委)が独占禁止法違反の疑いで、群馬県の本社ほか複数の店舗に立ち入り検査を行った。
https://toyokeizai.net/articles/-/256?display=b
こうした企業を非難するのはたやすいが、こうした下請けに対する弱みにつけ込むのは基本はなくならないのだろう。
■下請法違反のリスク
いろいろ反対があっても既定路線を決めて変更しないというのは、この国の政治スタイルであろう。諫早湾干拓、消費税、インボイス制度などが思い浮かぶ。マイナ保険証も、制度不備があってもごり押しを思想だ。
直近ではじまるインボイス制度は、その制度の趣旨とは裏腹に下請け・業者が不利益を被るリスクがあり、おそらくは多くの人が懸念するところだろう。
公正取引委員会でも、こうした事態にならないようにパンフレットを作成している。
○インボイス制度後の免税事業者との取引に係る下請法等の考え⽅
https://www.mlit.go.jp/common/001468993.pdf
○インボイス制度の実施に関連した注意事例について 令和5年5月 公正取引委員会
インボイスQ&Aでは、発注事業者(課税事業者)が、免税事業者に対し、「課税事業者にならなければ、取引価格を引き下げるとか、それにも応じなければ取引を打ち切ることにするなどと一方的に通告することは、独占禁止法上又は下請法上、問題となるおそれがあります」(Q7の6)との考え方を示しています。
https://www.jftc.go.jp/file/invoice_chuijirei.pdf
これ自体は評価しても良いだろう。
問題はのは、受け止める企業側のコンプライアンス意識であろう。
■民法などに無関心な人々
民法には権利乱用として最初の方に下記の様な記載がある。
(基本原則)
第1条
3 権利の濫用は、これを許さない。
おそらくはこれを受けて、独占禁止法や下請法で「優越的地位の濫用」を禁止している。
知っておいて欲しいので、下記に引用する。
優越的地位の濫用及び下請法の概要
1 優越的地位の濫用とは
優越的地位の濫用とは,自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,取引の相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のことです。この行為は,独占禁止法により,不公正な取引方法の一類型として禁止されています。
2 下請法とは
下請法は,下請代金の支払遅延等を防止することにより,親事業者の下請事業者に対する取引を公正にし,下請事業者の利益を保護するために制定された法律であり,適用対象を明確にし,違反行為の類型を具体的に法定したことが特徴です。
例えば,下請事業者に責任がないのに,親事業者が発注後に下請代金の額を減じることや,下請事業者からの請求書が提出されないことを理由に,下請代金の支払日を遅らせることが禁止されています。
https://www.jftc.go.jp/shitauke/kousyukai/gaiyou.html
社内で「コンプライアンス教育」として、こうした基本的な法律の研修をしている企業はどのくらいあるのだろうか。少なくとも私は知らない。
「個人情報保護」「プライバシーマーク」などと合わせて研修するが法律にまで踏み込んで研修などはしていない。根本を知らなければ自分がなすべきコトは分からないだろう。
社員に法律の基礎知識を伝えていなければ「ガバナンス」もへったくれもない。
■機能しない内部通報制度
ビッグモーターでの内部告発が無視されたことはいくつの記事で取り上げられている。
それでも、意識を持った人々が声を上げなければ何も変わらない。
下記の記事は、現実を何も見ていないが無視もできない。
○ビッグモーター不正が示した「内部通報」の威力
企業の報復を防ぐため通報者の保護強化を
https://toyokeizai.net/articles/-/694656?utm_source=smartnews&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article
<閑話休題>
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