おごる平家は久しからず(予測可能なことを無視するな)
■肌感覚で分かること
1990年代に登場したパソコンは大きな可能性を秘めており、多くの企業がこぞって参入し、成長産業の代表であっただろう。しかし、成長産業はいずれ成熟産業となり、代替できるものが登場すれば衰退してゆく。
下記のガートナーの記事は驚くには当たらない。
○Gartner Forecasts Worldwide PC Shipments to Decline 9.5% in 2022
Smartphone Shipments in Greater China Expected to Fall By 18%
June 30, 2022
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2022-06-30-gartner-forecasts-worldwide-pc-shipments-to-decline-9-5-percent-in-2022
「2022年に全世界のPC出荷台数が9.5%減少。中国でのスマートフォンの出荷台数は18%減少」は予測ではなく現実であろう。
下記の記事がそれを表している。
○中国レノボの10─12月期、過去14年で最大の減収 パソコン需要低迷
https://jp.reuters.com/article/lenovo-q3-idJPKBN2US0JL
■準備を怠っていた経営者
成長産業はいずれ成熟期を迎える。そして、一見当社と関係のない変化であっても事業の行く末を左右する。こうしたことは普遍的であり、企業もそれを前提とした戦略を立てなければならない。
しかも、需要と供給には時間差も生じる。「すぐに決断して、すぐに実行」が悪いわけではないが、それは目の前のものに引きづられるリスクもある。過去と現在、そして未来に目を向ける必要がある。現在だけに目を向ける経営は、今の栄華にあぐらをかきかねない。
○日本電産、業績急悪化に潜んだ巨額買収のツケ
ヨーロッパ買収企業が顧客とトラブル、損失に
2023/02/10
1月24日、日本電産は2023年3月期第3四半期の決算説明会で、通期の営業利益を当初予想より1000億円少ない1100億円、最終利益を1050億円少ない600億円と、大幅に下方修正した。パソコンのハードディスク市場の急速な縮小や中国でのロックダウンによる影響などで市場環境が急速に悪化しているとして・・・
https://toyokeizai.net/articles/-/651556
「パソコンのハードディスク市場の急速な縮小」はSSDなどの普及を見れば当然であり、それに固執する限り復活はありえない
■勘と経験と度胸
こうした環境変化を感じることは必要であり、最終的には経営者の「勘と経験と度胸」に頼らざるを得ないかもしれない。しかし、人は常に間違える。それを学習するためには、自分は何によって判断するのかを明らかにしておく必要がある。データを俯瞰すると言うことを怠る経営者は客観性を欠き、いずれ退場を余儀なくさせられる。
おごる平家となるなかれ。
<閑話休題>