水車ダンマス編 第1話
101 1ダンジョンマスター 2コアとマスター、始めての召喚と諸問題 3ハーレムオンリー
鏑矢虎治は小岩に腰掛け腕組みをして唸っていた。某有名私立高校に受験する積もりでくそ真面目に勉強してたら、脳がパンクしそうになったので真夜中の散歩と洒落込んだ。
野良猫が足元に絡み付いてきたので蹴飛ばした。覚えているのはそこまでで、急に目の前が暗くなり、気が付いたら洞窟の中にいた。光源もないのにうっすらと周りが見える不思議な洞窟だ。勿論彼はここがどこだか知っている。
ダンジョンだ。ダンジョンマスターとして召喚されたのに相違ない。人に依っては拉致されたのだと騒ぐかも知れないが、虎治的には寧ろ望むところだ。下らない受験勉強などより、余程刺激的ではないか。だが重大な疑問がひとつある。
「ダンジョンコアはどこ?」そう口に出した瞬間目の前に眩い光点が出現した。
光が収まったので眼を開けると案の定やや紫掛かった黒い球体が目の前に浮いている。触れば良いのかな、とそんなことを考えていると球体は若い女の声で自己紹介を始めた。
「当方、要当不正規結節点及び有機結節点管制個体の観測及び当該個体への管制補助、と認められた為発現した制御情報子集合体です」
「なにいってるか分かんないや、君がダンジョンコアで俺がダンジョンマスターでいいの?」
「概ね、肯定」
一番の懸案が解決した事とて、さっそく生活基盤を整える事から始めることにした。
「衣食住の衣は取り敢えず着てるものでいいとして、食と住は…」
安全な水源と寝るところが必要だ。コアに頼むと壁からにょきりと指二本程の太さの筒が飛び出し水が湧き出してきた。水の落ちる位置には膝丈のどう見ても浴槽が出現した。底には穴が空いていて水が地下に消えて行っている。球鎖で繋がった栓もあり、水を溜めることも出来る。清潔はここで確保しろと言う事らしい。
「ベッドとかもお願いできる?」
「コスト的に無駄が大きすぎます、外で草木を伐採して疑似的寝藁の確保推奨」
「DPとかの関係?」
「概ね肯定」
「君さ、面倒くさがりだよね」
「…」
「DPの設定が完了しました」DPの概念自体は根子がアカシックレコードなのだから存在はするがダンジョンに紐付けられてはいなかったようだ。それを今紐付けたのだと言う。
「ダンジョンメニュー」こう言ったウィンドウ関係もでっち上げたばかりではあるが、虎治はそれとは気付かない。レコードから見れば、虎治は無数にある情報管理体の一つに過ぎない。レコード側から制御出きるわけではないが、思考自体完全に独立してはなく、コア=情報管理体=レコードは虎治の思考を先読みしてリクエストに応えてるのだ。
「DP十二って少なくない?」
「比較の基準が不明瞭のため回答不能」
「カロリーメイ○1箱で十一DPだよ?てか、カロリーメ○トしかリストにないし」
「十DPでランダムに増やす事が出来ます」ガチャだ。
召喚自体は1DPで出きるのだと言う。
「え?カロリー○イトは?」
これは虎治の願望からリストに刻み込んだものである。なので内部的に常にガチャを回して選択的にカロリ○メイトを呼び出すため11DP掛かってしまうのだ。
「カロ○ーメイトをガチャで引けば解決します」
1日空腹を我慢してガチャを回すことにした。
「リストに載るだけじゃないんだ」
固い石の床面の上に全裸の少女が横たわったいた。虎治は自然と前屈みになる。
「紐付けるために必要ですから」
リストに固定するために一度召喚する必要があるらしい。
「それさ、選択式にしてよ、じゃないと要らないものでゴミの山が出来そう」
コアは了承したので、女の子に意識を戻す。
「起きないね」
「結節点に不備があるため、生命体は手順を踏んで覚醒させる必要があります」
「えっと、放って置いたら、このまま?」
「はい、目覚めず餓死します」
「ヤバイじゃん、手順てどうするの」
「リピドーを解放します」寝ている娘にナニするのだと。
「それ普通にレイプだよね」
ここは日本ではない、そもそもこの少女は虎治の眷族となるべき娘だ、なにも問題ない。放って置けば餓死するのであれば、人命救助でもある。コアの説明からそう考えた虎治は、取り敢えず水を飲むことにした。さっきから喉がカラカラ。お約束通り前屈みのままで浴槽に移動した。
(俺のダンジョンむちゃくちゃ弱くないか?)
少女に浴槽で綺麗にするように言ってから、さっき脱いだダボティーを渡した虎治はふと思い当たる。
(眷族女の子しか呼べないじゃん)
最初はコボルト辺りで生産力あげてから、オーク軍団、仕舞いにゃドラゴン旅団のテンプレが最初から破綻している。
(召喚しまくっても巨大ハーレムしか出来ない罠)
因みに、召喚に成功したので1DPで何時でも何人でも呼び出せる。
(1日十二人まで召喚できますって、これがミノタウロスとかならなぁ、あれ?DP増えてる)
残り1である筈なのに2DPになっていた。
「リピドーの接続に成功したのでDPの最大値が上がったのです」
「まじで?じゃやればやる程…」
「はい増えます」
「あ、でも限界あるか、1日2~3回?」
「理論的には無限」
「は?」
結節点の内側で疑似空間に入り二分割すると中に入っていた虎治も二人に増える、無数に分割すれば無数に増える。戻ってくれば無数の記憶と共に無限の経験値が一時に入る。結節点と密に結び付いているダンジョンマスターだけに許された裏技である。
「頭パンクしない?」
分割されたそれぞれの記憶は、レコード内のアーカイブに納められ必要に応じて引き出されるため脳への圧迫はない。
「代償は膨大な魔素」
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