花束を君に
宇多田ヒカルの20周年ツアーの映像を流しながら今文字を打っている。
私は今年34歳だが、昔デパートの屋上にはプチ遊園地があったことを知っている同年代はどのくらいいるだろうか。
今でもボーネルランドなる子どもの遊び場はあるがそれとは少し違う。
都度お金を入れて遊具に乗る。あまり鮮明には記憶していないが、ゴーカートや観覧車もあった気がする。いわゆる遊園地ミニチュア版なのだ。
物心ついたころから、誕生日には毎年祖父母とデパートへ行き屋上の遊具に乗り、おもちゃ売り場で1つおもちゃを買ってもらう。それからお子様ランチを食べ、さらに飴やチョコがゆ~っくり回る詰め放題コーナーにも寄るという、今思えばお孫様すぎるVIP待遇を受けていた。
(さらに妹の誕生日には付き添いとして同じことがもう一回ある。)
雨が降って遊具に乗れない年があったり、おめかししたシャーリーテンプルのワンピースにオムライスのケチャップを付けた年もあった。
年が上がるごとに欲しいおもちゃの嗜好も変わってきて、『これ~』と決めた1つを祖父母のもとに持っていくと、今はこうゆうのが欲しいのか~と興味深そうな、しかし理解し兼ねるといった目で見られている事を子どもながらに感じていた。とはいえそれはダメと言われた事は一度もなくどれどもいいよと言って買ってくれた。
こんな豪華なイベントなのに何を買ってもらったかは今となっては一つも覚えていない。失礼な話であるが思い出だけは心に残っている自分がなんだか嬉しい。
徒歩5分の距離に住んでいた祖母は毎月、小学館の小学○年生という雑誌を買ってうちに届けてくれた。これに至っては、母に『おばあちゃんが来てくれたよ~』と呼ばれて玄関まで出ていき、心がこもってないような『ありがとう~』を言って受け取っていた。欲しいとも欲しくないとも思っていたのが本音でそんな態度がでてしまっていたのではと思う。(チャオやリボンに憧れていたというのもある。)もう少し、学校での出来事など楽しい話題の一つでも提供できればよかったなと今なら思う。そんな子どもはいないと思うけど。
なんだかぎこちない関係性の祖父母と孫だったが、祖父が亡くなり、いつからかお正月だけ会う祖母になり、その後は10年も空いてしまった。
白髪の美しい、厳しさすら感じるキリっと上品な、スカーフの似合う女性。
エリザベス女王が逝去された翌日、エリザベス女王より一歳若く95歳にて。
どんな言葉並べても
君を讃えるには足りないから
今日は贈ろう涙色の花束を君に