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ポテトだよ!ひふみん!と喋る鳥
二年前の4月、まだコロナなぞ来日していなかった春先に、私はインフルエンザに罹っていた。
前年の秋に予防接種を早々と受けて、しっかり手洗いうがいをして、インフル禍を乗り越えたつもりだったのだが、職場であっという間に広がり、もれなく休む羽目になってしまった。
仕事前の旦那に、朝イチで病院に連れて行ってもらい、先生方の素早い対応で『インフルエンザ陽性』の判をもらい、家に帰り床についた。
この時のインフルエンザが中々厄介だった。
割と薬が効きやすい私の身体に、ウイルスは何度も攻撃してくる様子をまざまざと感じた。
とにかく熱の乱高下が激しい。
日中に40度越えで、節々が痛む。
逆に薬が効きすぎるのか、夜には平熱に収まるのだが、寒気がして眠れない。
これを4日繰り返した。
熱の上下運動だけでこんなに疲弊してしまうのは初めてだった。
夢うつつの状態で、和室で眠る。
旦那が少しだけ障子を開けておいてくれた。
小春日和の窓から、なんか聞こえる。
『ポテトだよ!』『ひふみん!』
『ポテトだよ!』『ひふみん!』
ああ、熱が高すぎるからついに幻聴も始まったのね。いよいよだな。と思った。
インフル2日目、昼夜逆転してしまった体に春の木漏れ日が眩しい。
水分補給をして体を横にすると、なんだか窓際が騒がしい。バチチッ、バチチッと音がする。
窓の桟に何か引っかかってる?と思い、恐々障子を開けてみると、青い色の野鳥がいたのだ。
調べてみるとイソヒヨドリという種類の野鳥らしい。雄が青とレンガ色の羽を持つ。
幸せを運ぶとも書いてある。
今の弱りきった私になんだか嬉しい言葉だった。
インフル3日目。やはり夜が眠れない。その代わり、昼間寝たり起きたりを繰り返してしまう。そんな中私の唯一の楽しみは、イソヒヨドリちゃんが窓際に来てくれる事。
警戒されない様に障子を三分の一程開けて、私の布団からも見えるように体制も整えた。
昼過ぎ、窓をバチチッ、バチチッと叩く音で目が覚めた。きたきた。青い羽が綺麗。
部屋を覗き込む様な仕草もまた可愛い。
私は驚かせない様、布団からその様子を楽しんだ。
明日はみかんでも置いといてあげようかしら。
そんな事を思ったその時であった。
『ポテトだよ!』……えっ?
『ポテトだよ!』『ひふみん!』
その青い鳥は、そう言ったのである。
いやいや、まじでまじで。
正確にはもう一匹、雌のイソヒヨドリも近くの電線に止まっていて、呼応していたのである。
何回も言うので、私は何回も聞いてやったが
『ポテトだよ!』『ひふみん!』
にしか聞こえんのである。
どなたか野鳥に詳しい方、もしくはお医者様。
イソヒヨドリが何と言っているのか、私の耳がおかしいのか教えてくださいませ。
p.s(ってもう使わんのか?)
すっかりインフルから回復した後、この話を息子にしたら『お母さんの事、ポテトとひふみんだと思ったんじゃない?』ととりわけ失礼な返しをされたので、息子には寝てる薄シーツの下に将棋ごまをばら撒いてやろうと思いました。