STATEMENT
2020年に初めて企画をやると決めた時に書いたステイトメント。灰野敬二のアルバムタイトル「やらないが できないことに なってゆく」を引き合いに出しながら、やれるときにやりたいことをやるべきだと記した。
実は初回の企画終了後に次回以降の準備を進めていたが、そうこうしている間にコロナウイルスは蔓延し、何もかもがストップ。さらに本業の方では転勤を命じられ、単身赴任で福岡に引っ越すことになった。程なくして遠い九州の地で妻の妊娠を知った僕は気付けば父親になっていた。
「言ってた通りになっちゃったよ。」
そう思わざるを得ないくらいに環境は一変し、計画はおろかあっという間に何の身動きもとれなくなった。金、時間、人。各ステージで色んな制約がある。嘆くわけではないが、これが現実であり人生だ。
しかし、もどかしい気持ちを抱え続けながらも何とか帰ってくることが出来た今、万全とは言えないまでも最低限の環境は整ったので、仕切り直してまた一から始めることにした。
再開一回目は初回企画時より提案している"異なるフィールドで活躍するアーティスト達の親和性"を凝縮したような渾身のツーマンで執り行う。新体制での再始動後もその勢いは衰えることなくエクストリームミュージックの領域を拡張し続ける 【ENDON】、リズムアンサンブル・goat等での活躍も目覚ましい日野浩志郎と前衛的アプローチでの活動が芸術分野からも賞賛を浴びるチェリスト・中川裕貴によるデュオ 【KAKUHAN】。既存の定型的フォーマットを無視し続け、それぞれのベクトルで異彩を放つキーマン達が遂に交差する。さらにはworld's end girlfriendやmouse on the keys等でもVJを行う 【rokapenis】 が両アクトの当日の映像演出を担当し、至高の空間を更なる高みへと押し上げてくれるはずだ。総じて、未踏の境地を具象化するようなひりつくライブになることはまず間違いないと断言する。
僕を見ても分かる通り、いつだって人生は選択の連続で今を更新するのもあなたの選択次第だ。ただ、そのタイミングはいつまでも待ってくれるわけではない。「この日の選択は間違いなかった」と自分にもあなたにも確信させる夜。長い沈黙を経て、これ以上ない舞台がようやく整った。