"EXTRA"とは?

今年1月の初企画を経て、いきなりの番外編です。今回は、前回のような堅苦しいステイトメントは無しです。ただ、この番外編の起こりだけ少し説明させてください。


コロナウイルスの蔓延によって、僕らは、自分にとっての音楽というものについて改めて正面から向き合う時間を与えられました。それはもう十分すぎるほどの時間でした。しかし、その時間の中で導き出した答えは各々異なるものだったのではないかと思います。

「満員のライブハウスでライブが見たい」
「配信ライブだけではどこか物足りない」
様々な消化しきれない想いがあるでしょう。

しかし、たとえ嘆き続けたとしても、悲しいかな、従前の環境が戻ってくるにはまだまだ時間がかかりそうです。

であれば、今の制限付きの状況の中でもつくれる楽しいことって何だろう?
そういう発想に切り替えた方が健全かつ生産的だと僕は考えました。そこで思いついたのが今回の路面電車の貸し切りという方法です。

朝、駅に行けば、自粛期間以前と何も変わらないかのような人だかり。そして、いつもの電車に乗り、いつもの会社へ向かう。ライブハウスはダメ、電車はオッケー。

「それならもう電車の中でライブをすればいいのでは?」

我ながら安直かつ低脳な発想だとは思いますが、ふと頭に浮かんでしまったのです。

それと同時に、本来、音楽とはこういうものなのではないかと気付かされたのです。何にも捉われず自由な表現が出来、そこに正解も不正解もない。これこそが音楽の本質なのではないかと。

一応、念のために記載しておきますが、この企画の中で一つだけ誤解してほしくないのは、人数制限や配信ライブ等色々な方法を模索しながらこの危機を懸命に乗り切ろうとしているライブハウスやアーティストの方に対してのアンチテーゼ等でこの企画を動かしているわけではないということです。

ただ、誰かが提示した一つの手法を疑うこともせず、みんなが当たり前のように倣っているここ最近の構図に対しては正直疑問があります。もっと自然に、もっと自分らしく、個々が考える音楽というものに向き合うことが出来れば、今まで気付けなかった新しい"何か"に辿り着けるはずだと僕は信じているからです。

今回の企画はその内のアウトプットの一つです。そこに、すでに深く交わってそうでなかなか交わってこなかった二人の若き才女が手を貸してくれました。

どこか閉塞感が漂い、どこかモヤモヤとした日常の中の一部を、こんな馬鹿げた企画を通してみんなと一緒に楽しめたなら、路面電車を降りる頃には自ずと視界が開けているかもしれません。

『どこに来たかわかる?素晴らしいところだよ』

では、当日、都電荒川線車庫にてお待ちしています。


主催 田中智大

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