"HYPER IRONY"を終えて
初の自主企画 "HYPER IRONY" が終わりました。
まずは、ご出演頂いた各アーティストの皆様、ご来場頂いた皆様、この企画を計画するに当たって色々なアドバイスをくださった皆様、本当に有難うございました。月並みな表現ではありますが、あの日、あの場に関わってくださった方、誰が欠けても成立することのなかった時間と空間だったと思います。
企画の準備を進めている最中から「企画終了後に所感を公開して、この企画を完結させよう」と考えていましたが、BLACK GANIONのアンコールが終わった瞬間に、今のこの気持ちを言葉にして表現することが自分には出来ないと感じてしまい、振り返りの文章を記すことを一度はやめようと思いました。しかし、あれから数日経った今、やはりあの時感じた全ての想いや感情を記録として残しておくことに意義と責務があると感じたため、未だ整理のつかない頭のまま、今、パソコンの前に向かっています。
なぜこの企画を計画したのかということに関しては事前に公開していたステイトメントの方を参照して頂ければと思いますが、今改めて考えても一月二十五日という日はそこに書いたこと全てが昇華された日だったと思います。僕が感じていた閉塞感やマンネリを払拭出来た瞬間というものがあり余るほど詰まっていた一日でした。
各アーティストのパフォーマンスに関しては全て期待以上の内容で今更何も言及することはないので割愛しますが、印象的だったのは、演奏が始まる時間になるとバースペースや喫煙スペースから人がいなくなり、ほとんどのお客さんが全てのアーティストのライブを真剣に見ていたことです。今回の企画意図の一環として出演アーティストのジャンルをバラバラにしたこともあり、目当てのアーティストしか見ないお客さんが一定数出てしまうことを予想していた自分からすると、この事実は想定していなかったものでもあり、また、僕が描いていた一つの理想的なライブの形そのものでもありました。
さらに、十数年前に上京してきてから毎週のようにライブに行っていた「あの頃」に感じていたいい意味での緊張感というものが今回出演してくれた各アーティストのライブにはしっかりと存在しており、また、それが他のアーティストにもお客さんにも伝播していく様を手に取るように感じられたことにこの上ない充足感と感慨を覚えました。
今回の企画に関して、ある一定の成果は挙げられたとは感じていますが、何か大きな偉業を成し遂げたとは個人的には思っていません。それは「ライブ」という存在が常にこの日のような姿であるべきだと思うからです。僕が今回投じた一石は単なる小石に過ぎないかもしれませんが、この小石を投げるという行為にしっかりとした信念というものが加われば、誰かの心を動かすことも不可能なことではないということを実感出来た企画だったと思います。これは行動を起こしたからこそ気付けた大きな発見であり、大変貴重な財産となりました。
もっともっと色々なことを感じ、色々なことを考え、色々なことに感動した一日でしたが、これ以上は僕も正しく言語化が出来ないので、この辺りで文章を締めたいと思いますが、今回の企画を単なる思い出とするのか、次へのステップとするのかは全て僕次第だと思っています。ただ、僕が信じた「音楽」というものには間違いなく大きな力が宿っていると改めて実感しました。これは紛れもない事実です。
今回出演してくれた各アーティストは既に次のライブに向けて動き始めています。僕も驕ることなく、また、味を占めることなく一月二十五日までの一連の出来事を正しく受け止めながら、先を見つめていきたいと思います。
改めてこの場を借りて皆様に感謝申し上げます。有難うございました。
主催 田中智大
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