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拝啓、吉川尚輝様
永久に不滅の我が巨人軍の終身名誉若大将、原監督といえばメディアを通じた若手選手への激励である。
今回はそんなにキャッチーな内容ではないけれど、“悪川くん”を返上した吉川に指令が出たようである。
OPSとは On-base plus slugging、要は出塁率+長打率であり、「マネー・ボール」でチームの勝敗に最も影響のある打撃指標として紹介され、今では打撃三冠に加えてかなりの市民権を得ている指標である。
もちろんポジションによって求められる数値は異なるが、一般的に.800でレギュラークラス、.900でMVP争い、1.000を超えたら後世に語り継ぎたいモンスターイヤーである。
ちなみに、昨季はパ・リーグでは柳田、セ・リーグでは村上の2人が1.000を超えている。
昨季の吉川のOPSは.734。吉川は守備力重視のセカンドであり、そこまで高い打撃力は求められないものの、やはり原監督の期待に応え、上位打線でレギュラーとしての地位を確立するには.800はほしい所である。
そこで、OPSコンサルタントであるボクの出番である。
ボクは中学の3年間をベンチもしくはベンチ外で過ごし、公式戦出場が一度もなかったものの、ここ3年間は以下の通り異常に高いOPSを残している。
記録が無いため2017年以前は不明だが、ここ3年間の通算OPSは1.700。バリー・ボンズのキャリアハイでさえ2004年の1.422である。
今回は、OPSを上げるためのポイントを3つ紹介したい。
空振りを恐れない
どうも日本野球の特性として、空振り三振をすることに対して異常な嫌悪感を持つ人間が多いようである。
空振りをしてベンチへ帰ると、確実に「チームバッティングをしろ」「ホームラン狙いをするな」「短く持て」のどれかを言われる。
そして誠実な選手はその指示に従うのである。
ボク(右打者)も中学の野球日記で、「バッティングでセカンドゴロを打つ意識を持つ」なんて書いた記憶がある。
鬱だったようだ。
そんなこともあり、日本のバッターはタイミングを外され、フォームを崩されながらもどんなボールにも当てにいき、結果として力のない凡打を打つケースをよく見る。
OPSを上げるためには自分のタイミングでしっかりと強いスイングをし、強い打球を打ち返さないといけない。
強いスイングをするには、もちろん副作用として空振りのリスクがある。しかし、空振りを恐れていたら長打の可能性は激減するし、何よりバッテリーに恐怖心を与えることができない。
恐怖心を与えられれば相手バッテリーはボール球も多くなり、出塁率も上がるだろう。
そのため、OPSを上げるための第一歩は、空振りを恐れずしっかりと自分のスイングをすることである。
昨季、吉川の三振率は17%であった。
セ・リーグの平均は23%であり、それに比べると非常に低くコンタクト能力がある事が分かるが、無理にボールに合わせてしまい、三振以外で打ち取られている打席が多かったかもしれない。
見逃しを恐れない
OPSを構成する要素のひとつである出塁率を上げるために必要な事、それは徹底してボール球に手を出さないことである。
一度ボールに手を出すと、そのゾーンを攻め続けられるし、自身のバッティングも壊れる。ボール球に手を出すことは、出塁率を下げるだけではない悪影響があるのである。
ボール球に手を出さないためのポイントは、狙い球を絞ることである。
狙いを絞り、意図しないボールが来た場合に自信をもって見逃すことが大切である。
狙っているゾーン、もしくは球種であればストライクゾーンの見極めはしやすい。例え狙いが外れたいた場合で、かつ(もちろんカウントや状況によるが)ストライク気味でも堂々と見逃す勇気が必要である。
無理に、イメージにないボールに手を出しても良い結果はならない。
その結果、簡単に追い込まれたり、見逃し三振になることもあるだろうが、それでいい。
狙った球のみを自信をもってスイングし、そうでなければしっかりと見逃す。シーズントータルで考えると、若いカウントからやみくもにボールにコンタクトをしているようでは、フォアボールは減り、出塁率が上がらない。
昨季の吉川の出塁率は.336であった。
7番、8番を打つセカンドとしては十分だろう。ただし、原監督が求めるのは梶谷と1番を争う吉川であり、後続の坂本、丸、岡本を活かすためにも.350、.360はほしい所である。
逆方向への長打力をつける
OPSを.800やそれ以上を目指すとなると、リーグ屈指の長打力が必要である。
そして、安定した数値を残すには逆方向への長打力は必要不可欠である。
自分のタイミングで、自分のスイングでバットの芯でヒットし、引っ張れた時に外野の頭を超えることは最低限として、そうでないスイングの時でもフェンスオーバー、もしくは外野手の間を抜けるような打球を打ちたい。
逆方向の長打力をつけるために必要なのは、後ろの手での押し込みである。
右利きで右打ちの場合は、利き腕が後ろの手になるためインパクトでの押し込みがしやすい。
吉川は右投げだが、右利きだろうか(坂本が左利きで右投げであるのは有名)。そうなると左打者の吉川は後ろの手は利き腕ではない左手になるため、逆方向への長打を打つには不利である。
トレーニングをしっかりと行い、後ろの手での強い押し込みをできるようになるかがポイントである。
吉川は非常に守備力の高い選手であり、なによりジャイアンツでは貴重なセカンドで長くレギュラーを勤められそうな選手でもある。
打撃でもパワーアップし、OPSを上げ坂本、丸、岡本に匹敵する野手となってもらいたい。
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