【ショートショート】おっさん増加中? (2,035文字)
雪の降る夜、男がフラフラ、ラーメン屋の暖簾をくぐった。厨房に立つ中年の男性店員は、
「いらっしゃいませ」
と、頭を下げた。
カウンターのみの店内に他の客はいなかった。男はそのことを確かめた後、近くの席にうるさく座り、
「あれ? 大将は?」
と、ヨロヨロの声で尋ねた。顔は真っ赤で、見るからに泥酔状態だった。喉も乾いていたのだろう。出てきた冷水をすぐにグイッと飲み干してしまった。
「この時間はわたし一人なんです」
「へー。そうなんだ。せっかくだし、大将に会い