「フォーリーアーティスト」という仕事
僕はアニメやドラマやゲームの効果音の仕事をしています。
その中でも「フォーリー」と呼ばれるセクションの担当です。
効果音 = フォーリーではありません。
効果音 > フォーリーです。
効果音を付ける仕事を【音響効果】と言い、フォーリーはその中のセクションの一つです。
では、フォーリーって何をするの???
●「足音」「衣擦れ音」などの人が動く音
●人が触れる物の音物を持つ音
●咀嚼音
●物が壊れる音
そのほか 体や道具を使って様々な音を生み出す仕事です。
その職人のことをフォーリーアーティストと言います。
声優さんのようにスタジオで映像を見ながら音を吹き込んで行きます。
「フォーリー」以外の「効果音の仕事」は例えば
「環境音」「銃の発砲音」「乗り物の走行音」「燃える音」「爆発音」
「イメージ音(ホラーなどの怖い雰囲気とか、キラキラとか)」
「コミカルな音」「モンスターの声」「動物の声」などがあります。
「ドア音」「殴る」「風切音」などはフォーリースタジオで収録することもあれば 録り溜めた音の中から選んで映像に付けることもあります。
作り手のマインドとしては「できる限りフォーリーでやる!環境音だって口と道具で作ってやる!」と思って活動しています。
で、クライアントに「やっぱりいつもの音がいい」と言われてボツになることも多々ありますが(笑) めげずに挑んでいます。だって、保存されている音にばかり頼っていたら その音を作れない人になるのでね。
フォーリーアーティストの仕事はスタジオの中だけではありません
●いいドアの音があれば録音機材を持って音を録りに行きます。
めっちゃガチャンバタン と連続して音を出すので、きっと怪しまれていることでしょう。
●いい軋み音がする床があれば そこに行き、足音がしないように体重移動をさせて ギシギシ鳴らします。そうとう怪しい光景です。
●僕はスタジオ内でも大型の水槽で水の音を作りますが、それでも限界があるので 屋外のプールでザバザバと水の音を録ります。きっと溺れているように見えることでしょう。
●雪山で足踏みしたり雪に飛び込んだりして音を録ります。足を踏み外したらリアルに死にそうです。先日は雪があると思って飛び込んだら深さ10cmぐらいしかなくてほぼアスファルトに直撃。。。
●車の中の人の動く音はやはり本物には勝てないので、駐車場に止めてある車の中でモゾモゾ ドタバタ動いて音を録ります。薬でもやってるのか と思っていつか警察呼ばれそう。
●鉄の階段も本物の音はスタジオにある小さなものとは規模が違うので、説得力のある音がします。いいテイクが録れるまで登ったり降りたりを繰り返します。もう気の毒な目で見られていることでしょう。
効果音を付けるというマジック
こうやってスタジオの中や外でありとあらゆる音を収録し、それを映像に吹き込み、アニメやゲームの場合はキャラクターに命を宿したり音で世界観を作り 作品を見ている人を引き込んでいくお手伝いをしています。
緊張しているシーンで服の擦れる音が大きく聞こえるように音を付けたり
ビールを美味しそうに飲む音を付けたり 画面に見えていないけど 迫ってくる人の足音 を付けたり 撮影セットの ボコボコという床をカツカツという大理石の足音に変えたり 銃を構えただけで かっこいいカチャ って音を付けたりしてます。
見えるのも全部に音を付けることもあれば、何も付けないという選択もします。見えているもの全部に音を付けるのは労力的には大変ですが、ある意味 思考的には簡単で、難しいのは どこに どういう音 を 付けて どこに付けないか です。これは一概には説明が難しく、雑に申し上げると、作り手のセンスです。これを監督やお客様が評価し 僕らアーティストを買ってくれていると考えています。 どう付けますか?と監督に聞きますが、それは音全体の1%にも満たないことが多いです。「お任せでいい感じに」これが僕たちの仕事です。
映像作品において いい作品だな と思う要素の中に 確実に 音 も入っています。皆さんが今まででいいなと思った作品をあらためて見返した時に 最初は気づきもしなかった「映像に馴染んでいる音」が最高のスパイスになっていたかもしれません。
これからも気づかれないように激しく、気づいているのに気にならない
そんな素敵な音作りを楽しんでまいります。
またエンドロールでお会いしましょう。
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