選手名鑑 ~カルロ・ピンソーリオ~
カルロ・ピンソーリオ。
彼のこの名前を聞いて彼の顔やポジションが思い浮かぶ人はどのくらいいるだろうか。ユベンティーニはもちろん知っていると思うが、他のチームのティフォージの方々で彼のことを覚えている人は数えるほどではないかと思う。
彼のポジションはゴールキーパー。国籍はイタリアで、アンダーカテゴリーでの代表経験もある。
ユベントスのゴールキーパーといえば、なんといっても今季帰還を果たしたジャンルイジ・ブッフォン、そして昨季から新たな守護神となったヴォイチェフ・シュチェスニーが思い浮かぶだろう。そして第3GKが他でもない、カルロ・ピンソーリオである。
そんな彼はユベントスで出場機会を得られているのか?といえば、残念ながらそうではない。公式戦において彼が出場したのは17- 18、18-19シーズン共にスクデット獲得決定後のカンピオナートの最終節のみ。今季の彼はまだ出場試合数0である。
彼の出ている試合を初めて観たのは、17-18シーズンのセリエA最終節のアリアンツ・スタジアムでのユベントス対エラス・ヴェローナ。
この試合はジジ・ブッフォンの退団試合で、先発したブッフォンは 後半15分過ぎに感動的な雰囲気に包まれたスタジアムで両チームの選手と熱い抱擁を交わし、ピッチを後にした。深夜に小さなスマホの画面の前で拍手をし、涙を流しながら見ていたのを覚えている。
そこで交代で出場したのがピンソーリオである。正直なところ、この試合での彼のプレーはあまり覚えていない(涙で見れなかった) 。
そして18-19シーズン、ユベントスはレアル・マドリードからサッカー界のアイコンであるクリスティアーノ・ロナウドを獲得し、ジェノアから当時26歳のイタリア代表GKマッティア・ペリンらを獲得した。
このシーズンも前述したようにピンソーリオの出場は最終節のみだ った。ただ私にとっては、彼は試合にこそ出ないもののベンチにい て誰かがゴールを決めると真っ先に走り寄って抱擁し、盛大にそれを祝う。そういった姿が私を虜にするには十分な要素だった。
これは私自身の話になるが、私は高校の部活動でサッカーをしていて、ポジションは彼と同じゴールキーパーだった。強豪というわけでもない公立高校だったが、同学年のもう1人のGKが先発、1学年下の後輩がベンチ入りをしていて、私がスタメンで出ることは全くと言っていいほどなかった。引退まで残り1年を切った、というところで彼のその姿を見て自分に重なるものを感じた。
サッカーに限らず団体競技においてはフォア・ザ・チーム、自分ひとりのことよりチームを中心に考えるべきだとよく言われるが、 それを行動に移すことは簡単ではない。
だが、彼はそれを完全に体現している。そこには育成年代から過ごしたユベントスへの愛だけには収まらぬものがあるはずである。
そんな彼の姿があったからこそ、私は悔いのないまま部活動を引退することができた。彼は私にとってのヒーローだ。いつかこの気持ちを彼に直接伝えられる日が来ればと思う。
先程ゴールの際の話を前述したが、他にも彼はチームメイトの誰とも仲が良く、ムードメーカーとしても知られ移動の際の集合写真などは常にセンターポジションである。 彼は誰からも愛されているのだ。
今季のセリエAにおいては彼のプレーが見られるのか、ということについては黄信号が灯っているがそんなことは関係なく、僕はいつでも、いつまでも彼のことを応援し続ける。
Grazie Carlo,Forza Pinsoglio !!
(彼のパートナーの Giulia Ortaggi さんは抜群の美女である。)
ここまで読んでいただきありがとうございました。