多様性に触れる 本3冊紹介
こんにちわ。
今回は「多様性に触れる」本を紹介します。
性自認のみならず、生き方や価値観の多様性が認められるようになりましたね。とてもいいことだと思います。
私は「中流階級の家庭に誕生」「人並みの苦労を味わいながら成長」「一般企業に就職」「異性愛者として今の夫と結婚」「こども2人授かり育てる」という、平々凡々そのものの人生を今のところ送ってきています。
とても幸せなので問題ないのですが、自分とは違う価値観や経験を持った人たちの思考や感情 というのに、非常に興味があります。
今回は「性の多様性」を中心に、本を3冊紹介していきます。
吉田修一 怒り
夫婦惨殺事件の犯人が整形手術をしたとの情報が入る。捜査が続く中、東京・千葉・沖縄を舞台にそれぞれ前歴不詳の男が現れ・・・
本作では、登場人物の中に同性愛者の男性が出てきます。彼の葛藤から「自分が同性愛者だと受け入れるのは、他人にそれを受け入れてもらうよりずっと難しい」ということを改めて理解しました。
実写映画化もされ、各役者さんの好演が評価された作品となりましたが、作中の苦悩や葛藤などの心理描写は、やはり小説を読まないとその機微を理解しきれないので、ぜひ小説を読んでみてください。
朝井リョウ 正欲
人から決して理解されない対象に性欲を抱く登場人物たちの苦悩を描いています。
LGBTQとかダイバーシティとか「言葉が先行して、分かった気になっていないか?」「自分の理解できる多様性だけ礼賛して、都合の悪いことは無視」など、今の価値観に対する疑問が、小説を通して痛烈なメッセージとなっています。
特殊性癖をもつ登場人物たちは、それぞれ諦めをもって世の中で生きていますが、そのうちの一人に恋をした八重子 そして夏月と佳道の関係にほんの少しの希望が見えます。
いつまちゃん 来世ではちゃんとします
セフレが5人いる女、女を沼らせる男、風俗嬢ガチ恋、処女厨、アセクシャルなどなど・・・性をこじらせた登場人物たちがたくさん出てきます。それぞれ自分に自信がなく「これではダメだ」と認識しながらも、自分に後ろめたさがある人って、結局他人のダメさにも寛容で・・・
物語が進んでいくと、発達障害やネグレクトにも触れられていきます。幸せになりたくてもがく登場人物たちを見守る作者の目が、本当に優しく、ハードな内容でも、読後感は不思議と気持ちが良いです。
読書は、誰かの追体験
例えば目の前で誰かが苦労しているとして、私が身代わりとなってその苦労を背負ってあげることはできません。しかし、優しくすることはできます。
読書は、他人の追体験をすることができます。本を通して、いろいろな考えや価値観に触れることは、現実に出会った他者への理解と共感に繋がります。こんなに素晴らしいものはありません。
最近は自分の理解の及ばないものに対して厳しい世の中になりましたね。自分がその一員とならないように、これからもたくさんの本を読んでいきたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。