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情報空間を車の買い替えで説明してみる

今日は少し日記風に。

昨日、春から就職する娘の車を見に行った。
近所では一番大きい規模の中古車ディーラーの担当者さんは「うちは日本一の自動車保有数」だと言っていた。

中古車ディーラーという情報保有所

車選びに無頓着な私と娘は、ひたすら並んでいる車を見て、自分の好みの車、条件に合う車はどれかな?と探し歩き続ける。

車が好きな父親くんは、娘に車の装備や機能について説明しながら娘も「ふむふむ」と初めて興味を持って情報を聞いていた。

軽自動車には全く興味がない私はというと、実は2月に車検が迫っている。今の車は4年前、いつもお願いしている自動車工場の整備士さんに「もう、これは乗り換えたほうが良いですよ」と言われ2年が経った。にもかかわらず、車選びが面倒臭すぎて、さらに昨日まで検討せず。

しかし、この2年の間に相次ぐ故障で娘の安い中古車なら買えたかもしれない額まで修理費が嵩んでしまった。

昨年の3月に息子が大学のキャンパス移動のための引越しも終わり、ミニバンの今の車の役目もほぼ終了。車というものは単なる乗る道具というだけではなく、CMのようなことを言わせてもらうのならば「思い出まで乗せて動く鉄の塊」なので、それなりの愛着も湧いていたわけだ。

しかし、度重なる故障や、オイルが燃えて少なくなっていくので、

「命守るために、乗り換えたほうがよいよ、お母さん」

と娘に言われ、娘の車選びについて行って、車を買ったのは私となってしまった。

人に例えるなら、「100歳のおばあちゃんに無理やり肉を食べさせて、おんぶに抱っこで長距離を走り続けろ」みたいなことを4年間やってきたので、潮時だったのは確かなのである。

情報空間にある「愛着」を手放す瞬間

娘の車選びの相談を担当さんにした後に、私の車探しが始まり、条件を提示し、探してもらう。(詳しくないので条件に見合って、動けばなんでも良いと考えているし、車で見栄をはりたいとも思わないし、単なる負債としか考えていない)

が、詳しくないなりに、条件に見合った車がいくつか提案され、その中の一台に

「あ、これ九州行った時にレンタカーで借りたやつだ。乗り心地よかったし、これでいいや。これ、外にありましたよね。もう一回見てきていいですか?」

と、とある車に目星をつける。
しかし、お店の外に出て車を確認しに行ったら・・・

「あれ?これじゃない。年式が違う。うーん。どこで見たんだっけ?」

店内に戻って担当さんに確認し、担当さんもあるはずだ!と言うので一緒に確認へ。

「あれ?ない。でも、データでここにあるはずなんだけどな。裏を見てきます!」

と5分後、裏から車を持ってきてくれた。

「ありましたー!あったんですけど…」

実は、条件にあって提案された車は「カーナビ」がついていないはずで、資料にも掲載されていなかった。私もその条件でOKを出していた。(必要なら後でつければ良いか、程度にしか思っていなかった)

「僕も知らなかったんですよ。だって、資料に載ってなかったので、すいません!この情報、知ってるのお客さんだけですよ(笑)」

と車を覗くとしっかりしたカーナビが。私としては「お、これで5万から10万近く得したじゃん」と思い、娘も「これ、縁がある車だね、決めていいんじゃない?神様からナビをプレゼントされたみたいだね!」と自分の車選びを忘れて、私と車の縁を感じていた。

おそらく、カーナビが付いていることを他に知るお客さんがいたら、その他は好条件すぎる車なのですでに売買契約が成立していたであろう。

最低条件から一気に「好条件すぎる車」となり、私の今の車への「愛着」は完全に切り離された。情報空間に漂う愛着は「好条件」という情報によって新しい、乗るかもしれない車への「興味」に書き換えられたのである。

情報空間が変わると物理空間で手にするものが変わる

ここまで読んで「なんだ、お前の車購入の日記じゃねぇか」と思っている方へ。これから簡単に「中古車ディーラーでの車の買い替えの話を情報空間に結びつけた解説」をしますね。

車は触れられるものなので「物体」です。
つまり「物理空間に存在していると認識されるもの」です。

しかし、私が購入する車は実際に目の前に「カーナビを乗せて」現れるまでは、クラウド上の「情報」として存在していました。これは「情報空間」にあるものです。

中古車ディーラーに並んでいる車は目の前に存在していますが、他店の車はクラウド上に全て情報として保管されています。その一部が私が訪れた店舗に並んでおり、目の前に並んでいない車は「物体」ではなく「情報空間の情報」として並んでいるのです。

そして、私の10年以上乗ってきた車への「愛着」。これは「感情」なので「情報空間」にあるものです。

しかし、今より「より良い車」の条件を決めたことで、情報空間で私の条件を満たす車がピックアップされました。「愛着」を切り離したことで、今まで乗っていた車は数ヶ月後にはスクラップされるので、「物理空間には車として存在しないもの」、あるいは「鉄屑」と情報に変化します。情報空間での存在の定義が変わったので、物理空間でこれまでの車は形を変えることになるのです。

私は「より良い車」という情報を選んだため、物理空間には「より良い車」が現れ、それを手に入れる「契約」をしました。契約というのも「情報空間」での取り交わしとなります。車は誰が乗っても良いはずですが、私が乗る車というルールが情報空間に出現したため、この物理空間では紙とペンで「サイン」という物理的行動を起こしたわけですね。

この世界「物理空間」が変わるためには「情報空間」が先に変わる必要がある、ということなのです。

物理空間で力づくで何かを変えようとしても、労力を使ってできることは、せいぜい「配置換え」程度のことです。
物理空間の環境や関係性をガラリと変えるためには「情報空間」を先に整える、ということが必要なのです。

車の購入を例に挙げてみましたが、情報空間と物理空間がどのような取り決めで動いているか?が少しでも理解につながれば嬉しいです。







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