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白騎士ユリウスに学ぶプライドの話(偽りのフレイヤ)

最近新刊が出たので読み返しています。「プライド」の質量みたいなものって測れないですが、質って大事だなあと思った話です。

偽りのフレイヤ あらすじ

舞台はテュール王国。隣国のジグルズが侵攻してきており、近隣諸国は既に傘下に入っています。

主人公のフレイヤはテュール王国のテナ村に住む女の子です。身体の弱い母親のスカディと暮らしています。(しかしスカディ性格はかなり勝気。)

ある日、城勤めのために村を出ていた幼馴染の兄弟が久しぶりにテナ村に帰ってきます。特に兄のアーロンは「黒騎士」と呼ばれ王子の側近としてかなり有名人になっています。この二人が村に帰ってきた目的は、毒に侵されて動けない王子の変わりにジグルズと交渉をさせるために王子に瓜二つのフレイヤを連れ帰ることでした。アーロンは大事なフレイヤを危険な目に合わせるのを良しとせず、形だけ任務を遂行したことにして自分の身をジグルズへ人質として差し出そうとしていました。

これが最後と覚悟したアーロンはフレイヤに想いを打ち明け村を発ちます。しかし、ジグルズ兵が王子が毒で死にかけ黒騎士が人質となるそうだと噂しているのを偶然聞いたフレイヤはアーロンの元へ急ぎますが・・・

結果としてフレイヤは王子の代わりに交渉をテュールに優位に進めることに成功しますが、アーロンは逆恨みした兵士の攻撃からフレイヤを庇って亡くなってしまいます。王子も毒のせいで亡くなってしまったため、フレイヤはそのまま王子の代わりとして城に留まることになります。

プライドが高そうな騎士

その城で現れたのが、黒騎士アーロンと共に王子の側近を務めていたユリウスです。王子が亡くなるまで8年間行動を共にしてきた騎士でした。しばらく後に番外編として王子とユリウスの出会いの話がでてきますが、かなり絆や信頼が深い。

王子亡き後も取り乱すこともなく、ただ姿が似ているフレイヤにも親身に接するユリウスにフレイヤはなぜそんなに冷静でいられるのか尋ねました。

ただ一人王子にだけ忠誠を誓っていたユリウスは、心情としては後を追って死んでしまいたいと言います。しかし王子はそれを許さないから生きて王子の大切なこの国を守るのだと答えるのでした。

白騎士ユリウスは、かなりの美形です。そして潜入などの任務でない場合常に装いが白です。自尊心・プライドが高そうですが、汚れ役や嫌われ役も平気でします。どんな辱めを受けても屈さないところは、誇り高いという言葉の方が似合う気がします。

この2つの言葉には明確な線引きがないようです。この二つの言葉の違いについての一般論はなかなか深すぎる話のようなので、ここでは置いておきます。

個人的には他人と比べて優っているという感情が源泉にありそうなのがプライドで、自分自身の有り様へのこだわりが誇りかなあと思います。

ユリウスの誇りは、誰と比べるでもなく王子への忠誠心を全うしようとする自分自身だけに向いていると感じます。この純粋な感情が、潔くて好きです。

ただ、誇りの拠り所が全て自分では無い点は脆いのかも。

忠誠を尽くしていた王子は亡くなり、気配は少しずつ薄れていきます。そのままひとりになってしまったら、元のユリウスのままでいられたのかしら。

フレイヤに出会って旅するうちに、ユリウスの誇りが王子という拠り所を離れてユリウスのものになっていってるように思います。

ユリウスのこの静かな心情の変化もまた興味深いです。

さて、自分は誇りをもって生きているだろうかと考えてみますが、迷い・惑い・他人と自分を比べがち。わたしに譲れないものや想いはあるのだろうか、自信がないです。とほほ

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