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2018年7月 王道の立山黒部旅③

2018年7月に実施した立山黒部の旅。今回は最終日記録です。
前回はこちらです。↓

電鉄富山→宇奈月温泉

 昨日はアルペンルートのトロリーバスで楽々黒部川の谷に行きましたが、本日は黒部川電源開発の元祖である黒部峡谷鉄道で黒部川の上流を目指しました。
 この時から「ずらし旅」とやらを意識していたのか、富山地方鉄道の始発列車で宇奈月温泉駅へ向かいました。

5:16発 電鉄富山 普通 宇奈月温泉行
6:54着 宇奈月温泉

富山地方鉄道オリジナル車両の14760形に乗車
朝はご当地ものを(どら焼きはおそらく昨夜のおやつ)

 昨日のスタートは4:35の列車、本日も5:16の列車ととにかく早く、ひたすら眠かった記憶しかありません。景色を見ながら眠りこけると、富山地鉄でよくある激しい縦揺れで一瞬起きる、そして眠るの繰り返し。そして気が付いたら宇奈月温泉駅に到着していました。

上市駅でスイッチバック
懐かしの東急8590系に再会
東急では珍しい拡幅車体のような構造をしており、子供の頃ドア下部曲線をよく見ていました。
宇奈月温泉駅に到着

黒部峡谷鉄道(→欅平)

 宇奈月温泉は帰りに立ち寄ることにして、まずは黒部峡谷鉄道(トロッコ列車)に乗って終点の欅平まで行ってしまいます。とは言っても黒部峡谷鉄道の始発列車は7時57分でしたので一時間待ち。7時頃に切符を購入し駅の周りをふらふらします。

7:11発の列車は関電作業員さんの専用列車です
大正15年に黒部専用鉄道として開業した時に導入されたアメリカ製の電気機関車
エレクトリックロコモーティブ

朝一番で観光地に乗り込むメリットはやはり空いていることです。特に黒部渓谷鉄道のような景色を楽しむ列車は車窓の両側を楽しみたいものです。
幸い乗車したトロッコは1グループ一列使用するくらいの混雑率でしたので景色を楽しむことができました。

窓付きの車両などありますがやはりトロッコでないと!

 7時57分、列車は定刻通り出発。富山県ご出身の室井滋さんの観光案内放送がトロッコ列車の旅をより充実したものにしてくれます。

 黒部峡谷鉄道の線路幅は762mのナローゲージとなっており、これは新幹線の線路幅の半分になります。戦前に敷かれた鉄道のため、厳しい地形を縫うように走り、急カーブが連続します。カーブでレールと車輪が擦れる音に加え、素掘りのようなトンネルに入れば冷気が襲い掛かる。そして突然現れる大鉄橋。もはやアトラクションでした。(アトラクションと言っては失礼かもしれません。)
 浦安の某国も否定はしませんが、黒部はリアルです。人間の大自然への挑戦を肌で体感することができます。人生で一度は行ってみてください。

宇奈月駅を出てすぐに新山彦橋で黒部川を渡ります
西欧のお城のような新柳河原発電所は平成5年に完成したもの
黒薙駅を出ると後曳橋という大鉄橋を渡ります
出し平ダム
長編成の列車では後部に座るととても楽しいです
一見何の変哲もない発電所に見えますが、戦前に完成した建物です。
「モダニズム建築」の名作と言われ、隣の珍しい赤い鉄橋とセットで楽しむポイントです。

 宇奈月駅から80分ほどで終点欅平に到着しました。昨日通過した黒部ダム(第四ダム)も黒部川なので、この先も関西電力の発電設備とそれを保守管理するための施設は続いておりますが、観光客が来れるのはひとまずここまででです。むしろ「このような秘境まで安全に運んでいただきありがとうございます」と感謝しなければいけないくらいです。さらに近い将来、黒部ダムまで観光ルートが開通するようです。この先も軌道線が存在し、他にもインクラインがあるなど、見所満載のルートになるのではと思います。

欅平に到着(9:12)

猿飛峡と名剣温泉

 黒部は日本一のV字谷と呼ばれている峡谷です。欅平駅から30分ほどにある猿飛峡はその名の通り川幅が狭くサルが飛び越えたことが由来となっています。川沿いの遊歩道は整備されているものの、人が通れるくらいの小さなトンネルなどがあり、地形の厳しさを楽しむことができます。

遊歩道を進みます
猿飛峡に到着(iPhoneで撮影)
地形がダイナミックすぎてフレームに収まりません。

 猿飛峡を満喫した後は欅平駅に戻り、駅からまた30分ほど歩いて名剣温泉へ向かいました。日本秘湯を守る会の一軒宿ですが、日帰り入浴が可能なありがたい温泉です。泉質は単純硫黄泉でお湯は透明だったと記憶しています。露天風呂に入浴させていただきました。

iPhoneで撮影
人喰岩と呼ばれる道を進みます
名剣温泉

 名剣温泉の先にも祖母谷地獄・祖母谷温泉と呼ばれるスポットもありますが、少し遠いので今回はこれで引き返すことにしました。

欅平駅近くには黒部第三発電所があります

 黒部の電源開発の歴史は大正6年に遡り、当初はアルミニウム製造目的であったそうです。アルミニウムの生産は大量の電気を消費するため、安定的に電力を確保することが必須になります。静岡県の富士でアルミニウム製造が盛んであったのは、富士山の湧水を利用できたからということは、地理で教わる典型的な例だと思います。

 大正時代から始まった黒部の電源開発ですが、欅平にトロッコ電車が到達したのは昭和12年。黒部第三発電所は昭和15年に運転を開始しています。この第三発電所は160℃を超す高熱地帯でのトンネル工事や暴風を伴う大雪崩が2度も発生するなど、相当な難工事の末に完成したそうです。戦前からこのような厳しい場所を開発してきたのかと思うと驚きです。偉大な先人に感謝ですね。

欅平→宇奈月

 欅平を満喫したので11:25発の列車に乗って帰路につきました。
 もう少しゆっくりしてもよかったのかもしれませんが、翌日は仕事だったのでこの日のうちに横浜へ戻らなければなりませんでしたし、宇奈月温泉にも入りたかったのもありました。混雑する前の早めの引き上げも「ずらし旅」のポイントですかね。

帰りの列車が入線してきました。
この後電気機関車は機回しを行い先頭に立ちます。
黒薙駅へ入線する列車
宇奈月温泉はこの黒薙から引湯しているそうです。
野生動物用のつり橋と引湯用のパイプ
まもなく終点の宇奈月

12:43着 宇奈月

〆の温泉

 先ほど名剣温泉に入浴しましたが、今回の旅の〆に宇奈月温泉にも入浴していきました。入浴したのは宇奈月温泉総湯「湯めどころ宇奈月」という施設。新しくとても綺麗でした。お湯の質はよくおぼえていませんが、夏旅なのでスッキリすればそれでよしという感じで入浴しました。いい湯でした。

 宇奈月温泉は弱アルカリ性の単純温泉(無色透明)で源泉の温度は約98℃、湯量は日に3,000t近くあるそうで、豊富な湯量を象徴するかのごとく、駅前には温泉噴水があります。

朝撮影

 入浴後は富山地方鉄道で新黒部・黒部宇奈月温泉駅へ戻り、北陸新幹線で帰ります。(昼食は不明)
 北陸新幹線の開業は北陸本線の三セク化という鉄道ファン泣かせのイベントとなりましたが、個人的には非常に便利になり、北陸に旅行しやすくなってありがたいと思っています。

14:47発 宇奈月温泉 特急うなづき10号 電鉄富山行
15:05着 新黒部

元西武レッドアローのアルプスエキスプレス

 富山地鉄の〆は水戸岡デザインのアルプスエキスプレスでした。確か乗車券だけで乗ることはできたと思います。
 アルペンルートや黒部峡谷鉄道、富山地方鉄道や路面電車など、富山は乗り物好きにはたまらない場所です。

15:22発 黒部宇奈月温泉 はくたか568号
17:52着 東京?

今回は旅行中に「また行きたい」と思うような旅となりました。
長くなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。

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