Web3のSocial Design 1:Web3の社会構築を考えた第一歩
今夜はアカデミーヒルズ主催のオンラインセミナー「WEB3の世界を考えるー国家ってなんだ? 第1回『共同体の変容』」に参加してきました.ゲスト・スピーカーはメディア美学者の武邑光裕先生で,モデレーターは江戸川大学の荒谷大輔先生と設楽悠介氏.武邑先生は千葉工大の変革センターにも参加してWeb3に関しても発言してこられた方.今回参加して知ったけれど,荒谷先生はHeartlandという「Web3.0の世界に人々の信頼の基盤を提供することで、ハートランドは近代国家の枠組みと共存可能な新しい”国”を作ります」を主催されている方でした.
僕がこのセミナーに参加した目的は,経済発展によって地球環境に負荷をかけすぎて地球温暖化などの次世代の社会の存続を危うくする状況に陥っている現代社会の課題解決の可能性としてWeb3があると思っているから.現実世界で経済発展を追求するのではなく,仮想世界で経済発展することができれば,リアルな地球に負荷をかけずに人類は発展し続けられるのではないかと考えているわけです.Web3で経済活動できることはNFTという技術によって実現していて,すでにいろいろな経済活動が(投機的な動きも含めて)行われています.でも,Web3で社会を構築できるのだろうか,ちまたで語られている話はおとぎ話ばかりで学問的な地に足に着いた議論ができていないのではないかと思っています.なので今夜のセミナーで何か足がかりを得ることができるのではないかと期待していました.
でも拝聴してみて最初に感じたのは,話しについていけないという気持ちでした.文献紹介などもあったけど,なぜその文献がそこで紹介されたのかもわからず,今夜のセミナーの前提となっている知識を僕は持っていないと思いました.僕には話が難しすぎたのだと思います.
セミナーの後半は参加者が自由に質問できたので,僕の気持ちを発言してみました.残念ながら,ブロックチェーンやWeb3のことがわかっていないと思われてしまい,その辺を丁寧に説明していただいたけど,僕がわからなかったのはそこではないので質問し直しました.でも,自分でも,自分が何がわからないのかを的確に説明できませんでした.
セミナーが21時過ぎに終わって,大学を出て帰宅する電車の中,僕が知りたかったのは何だったのかと自問してみました.少し頭の整理ができたので,メモ代わりにこのnoteを書くことにしました.
まず,今日のセミナーの副題に「国家ってなんだ?」とあったけれど,Web3はDecentralizedでAutonomousな社会なので,国という概念とは相容れないのではないかと思いました,Web3で人は複数のコミュニティ(DAO)で活動するけれど,国家というひとつの中央集権に属するという形態にはならないと思うのです.Web3では,国民国家を超えた民主主義がコミュニティベースで実行されて,経済活動も行われると思いました.
僕が「Web3の社会に必要な物は何か?」と質問したとき,武邑先生はエネルギー,荒谷先生は経済活動と回答されました.なぜエネルギー?と思って重ねて質問したら,そもそも電力がなければWeb3は存在しないからという答えで,なるほどと思いました.リアルな世界で電力を創り出す活動が行われないとWeb3の世界は存在できません.今の日本でも欧州でも,エネルギー共有は十分とは言えない状況になっています.どうやって安定した電力を確保するかは切実な問題だと思いました.経済活動は,放置していても人間は貨幣を使った経済活動を始めると思います.では,その次のレイヤーである社会活動はどうなるのか? そこが僕の疑問であることに気がつきました.サイバー世界であるWeb3で人間はどのような社会的行動を取るのか? 国家に代わるどのような社会形態・政治形態が出現するのか? 分散型で自律的な社会活動を人間は行えるのか? 中央集権を求めてしまうのではないか? 現実世界のような政治的な紛争が起こるのではないか? 世界中の人のどの程度がWeb3の世界のやり方になじめるのか? それを知りたかったのだと思います.今振り返ってみればそういった研究や社会の取り組みも今日のセミナーでは紹介されていたように思いましたが,ペースが速すぎて僕はついて行けませんでした.アーカイブが後で公開されるそうなので見直してみようと思います.
今夜のセミナーは,Web3の社会を考える第一歩になったなと思いました.おしまい
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