週末英文法 【無生物主語構文】 Apr.20.2024
満を持して、という訳ではありませんが、今日は無生物主語構文について考えていきたいと思います。今日から3日間は関連事項ですので、ぜひ通して読んでくださいね。
まず、日本語と英語の傾向の違いについて述べておきたいと思います。
大まかに言って、日本語は動詞を中心として「AすればBする」のように人間の行為の順に文章を構成していく傾向があります。
(ex1) この本を読めば、たくさんのことが分かる。
しかし英語は、主語の名詞を中心として原因と結果、つまり因果関係的に文章を構成していく傾向があります。
(ex2) This book will enable us to know a lot of things.
したがって、(ex2)のように主語が無生物で目的語が人という文が自然な英文として、特に書き言葉として好まれます。これが一般に無生物主語構文と呼ばれるものです。
この英文を直訳すると「この本は私たちがたくさんのことを知るのを可能にするでしょう。」というぎこちない(というよりも僕たちが使わない)日本語になりますので、日本語にするときには工夫が必要です。
この構文を取りやすい動詞は限られていて、いくつか代表的なパターンに分けることができますので、動詞を中心に見ていきましょう。
①【強制・許容】「Oに〜させる」
make / force / enable / allow / cause などが代表的な動詞です。makeは使役動詞なので原形不定詞をとります。その他はto不定詞をとります。主語が原因・理由・手段を表すことが多いです。
(ex1) This medicine will make you feel better.
(この薬を飲めば、あなたは気分が良くなりますよ。)
(ex2) His pride didn't allow him to ask for money.
(彼はプライドが高いので、お金を要求できなかった。)
②【妨害】「Oが〜するのを妨げる」
prevent / keep / stop / hinder などが主な動詞です。"V + O + from doing 〜"の形を取るのが普通です。主語が原因や理由を表すことが多いです。
(ex3) Heavy rain prevented them from arriving in time.
(激しい雨のせいで、彼らは間に合って到着できなかった。)
③「O1にO2を与える、省く、払わせる」
give「O1にO2を与える」、save「O1のO2を省く」、spare「O1にO2を免れさせる」、cost「O1にO2(犠牲・損害など)を払わせる」が主な動詞です。 これも、主語が原因や理由を表すことが多いです。
(ex4) Carelessness cost the pilot his life.
(不注意によってそのパイロットは命を失った。)
(ex5) His visit saved me the trouble of calling him.
(彼が訪ねてきてくれたので、私は彼に電話する手間が省けた。)
④「O1にO2を示す」
show / prove / reveal / tell などが主な動詞で、第4文型または第3文型をとるのが普通です。主語には情報源を表す名詞が置かれますので、方法や手段の意味になることが多いです。
(ex6) A brief examination revealed us two facts.
(少し調べてみると、私たちは2つの事実が分かった。)
(ex7) The news told us what's going on in the country.
(そのニュースによって私たちはその国で何が起きているのか分かった。)
⑤「Oを〜に連れて行く、連れて来る」
take / carry / bring などが主な動詞です。主語は乗り物や動作そのものを表す名詞が中心なので、方法や手段(場合によっては条件)の意味になることが多いです。
(ex8) This bus will take you to the station.
(このバスに乗れば駅に行けます。)
(ex9) Ten minutes' walk brought him to the theater.
(10分歩くと、彼は劇場に着いた。)
⑥「AにBを思い出させる」
"remind A of B"または"remind A that SV 〜"という形になります。直訳で違和感がない場合はそのままで構いません。違和感が生じたときは、主語を副詞的に訳しましょう。
(ex10) This photo always reminds me of my youth.
(この写真を見ると、いつも僕は青春時代を思い出す。)
⑦疑問詞が主語
ある程度決まった形が多いので、定型表現として覚えてしまっている人もいるかも知れません。それでもOKです。疑問詞はwhatが基本です。直訳したときの違和感は抜群なので、すぐに気づくと思います。
(ex11) What made you so angry?
(なぜあなたはそんなに怒ったの?)
細かく分類すればキリがありませんし、ここに挙げた動詞はあくまで最低限です。しかし、これらをベースに理解しておけば、他の動詞による無生物主語構文も柔軟に訳せるだろうと思います。例えば、
(ex12) A terrible headache kept him awake all night.
これを直訳すると「ひどい頭痛が、彼を一晩中目が覚めている状態に保った。」となりますが、おかしいですよね?でも無生物主語構文の理屈を理解していれば、彼の目が覚めていた原因や理由が主語にあることは明白です。したがって、「ひどい頭痛のせいで彼は一晩中寝つけなかった。」と訳せるはずです!
基本は以上ですが、無生物主語構文のマスターに欠かせない知識があと2つあります。明日、明後日と解説していきますので、ぜひ読んでくださいね!
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