札幌は冷たい雨の日が続いています。きれいに色づいた木々もだいぶ葉を落としてしまいました。冬の足音が聞こえてきています。 今日から通常編再開です。冬に向けて頑張っていきましょう。
【第1問】 「彼女は編集者と翻訳について協議しないので、自分自身の直感を通してそれぞれの登場人物に適切な言葉遣いを決めている。」
【解説】 等位接続詞soが2つの文を結んでいます。両方の文ともに動詞に注目です。
1文目の動詞discussは文法・語法問題では「前置詞不要の他動詞」としてよく出題されますね。ただ、discussの目的語は「話し合う議題、問題」ですので、話し合う相手を明示するときは前置詞のwithが必要になります。“disscuss + O + with + 人”「人と〜を話し合う、議論する」と覚えておきましょう。
2文目の動詞decideは他動詞だと認識している人も多いと思います。重要事項ですので、ここできちんと確認しておきましょう。
<動詞decideの語法> ①他動詞用法 「〜することに決める、〜を決着する」という意味で、決定そのものに重点 が置かれます。 (ex1) He decided to leave this town immediately. (彼はすぐにこの街を出ると決心した。) (ex2) You should decide what to do after graduation. (あなたは卒業後に何をすべきかを決めるべきだ。) (ex3) They decided that they would allow her son to go abroad. (彼らは息子が外国へ行くことを認める決意をした。) ②自動詞用法(decide on/upon 〜) 「〜に決める、〜を決める」という意味で、複数の選択肢の中から選んで決める というイメージがあります。 (ex4) She hesitated what coat to buy, but decided on a black one. (彼女はどれにしようか迷ったけれど、黒いコートに決めた。) (ex5) We haven't decide upon a day to hold a welcome party. (私たちは歓迎会を開く日をまだ決めていません。)
今回の文では、言葉遣いについていくつかの候補の中から登場人物ごとに選んで決めているということですね。
全体としては平易な英文だと思います。動詞について学習してくださいね!
--- Words and Idioms --- editor(名)「編集者」「(コンピューター上の)エディター」 usage(名)「使用法、用法」 intuition(名)「直感、直感力」「(直感による)洞察」
【第2問】 「一般大衆は政治それ自体を1つのことだけに打ち込む存在物のようなものとして、つまり一方向にしか働かず人間の欲望に対して常に同じ態度を表明するエンジンとして抽象的に捉えている。」
【解説】 冒頭、at largeは重要熟語ですが、“the public at large”で「一般大衆、一般国民」という意味で用いられることも覚えておきましょう。これが主語で動詞がtakes、目的語がgovernment itselfです。
itselfはgovernmentを強調する強調用法の再帰代名詞です。ここで再帰代名詞の基本的な用法を確認しておきましょう。
<再帰代名詞の基本用法> ①再帰用法 一般動詞や前置詞の目的語が文の主語に一致する場合には必ず再帰代名詞を用います。下記の2つの例文ではそれぞれherやusを使うことはできません。 必ず再帰代名詞を用いるので気をつけましょう。 (ex1) She looked at herself in the mirror. (彼女は鏡で自分を見た。) (ex2) We enjoyed ourselves thoroughly at the party. (私たちはパーティーで思う存分楽しんだ。) ②強調用法 「〜自身、〜自体」という意味で名詞を強調したいときは、再帰代名詞を強調したい名詞の直後に置きます。 (ex3) I was talking with Mr. Smith himself then. (私はそのときスミス氏自身と話をしていた。) ただし、主語を強調したい場合は主語の直後に置く以外に、文末や文頭に置くこともできます。例えば、「彼自身がその椅子を作った。」という文であれば、再帰代名詞の場所は3箇所考えられます。 (ex4-1) He himself made the chair. (ex4-2) He made the chair himself . (ex4-3) Himself , he made the chair.
動詞takeは“take A as B”という形になっていて、「BとしてAを受け取る、理解する」という意味です。この意味のtakeは、普段の学習では目的語がadviceなどでよく出てくるのではないでしょうか。
(ex) You should take your parents' advice seriously. (キミはご両親の忠告を真剣に受け取るべきだ。)
そして、Bにあたる「一種のひとつのことに打ち込む存在物」という名詞があまりに抽象的なので、カンマをおいて“an engine”と言い換えているのがこの英文のポイントです。「つまり、すなわち」と言葉を補って訳しましょう。
that以下はengineを修飾する関係代名詞節です。節内は特に難しいところはないと思います。
--- Words and Idioms --- at large 「(危険な人や動物が)逃亡中で」「一般の、全体として」 single-minded(形)「1つのことだけに打ち込む」「断固たる」 entity(名)「存在物、実在物」 express(他動)「〜を述べる」「(気持ちなど)を表す、表現する」 attitude(名)「態度」「考え方」