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1日2題の英文和訳 【解説編】 Jul.8.2024
今日から通常編に戻ります。短い英文を丁寧に考えていきましょう。
【第1問】
「今日の私たちが手に入れることができる記録された歴史は、文字が最初に発明されたおよそ6000年前にまで遡る。」
【解説】
シンプルな英文です。主語がthe recorded historyでavailableからtodayまでの形容詞句が後置修飾しています。
このavailableという形容詞はもともと「利用できる」という意味で、「手に入れることができる」「買うことができる」「(人に)会うことができる」などの意味を持っていますが、単独でも後置修飾することが多い変わった形容詞です。例えば、
(ex1) そのホテルには開いている部屋はない。
The hotel has no available room. / The hotel has no room available.
このように、どちらの文も正解です。今回はto us todayという前置詞句を伴って形容詞句になっていますので後置修飾しかできません。
動詞は自動詞stretchです。「伸縮する、伸びる」「(手足を)伸ばす」「広がる、及ぶ」といった意味ですが、今回は"stretch back to 〜"の形で「(起源などが)〜までさかのぼる」という意味です。toが構成する前置詞句の前に6,000 yearsという単位付きの数詞が副詞として置かれています。
さて、細かい話で訳にはあまり関係ないかもしれませんが、この英文には実は省略があります。
〜 approximately 6,000 years to the time when writing was first invented
when以降は関係副詞節で、その先行詞であるthe timeが省略されているんですね。whenに対するthe time、whereに対するthe place、whyに対するthe reasonは頻繁に省略されるので注意しましょう。
長々と解説しましたが、全体としてそんなに難易度は高くないと思います。
--- Words and Idioms ---
available(形)「利用できる」「手に入れることができる」
stretch(自動)「伸びる」「広がる」
approximately(副)「およそ、約」
$${\uparrow}$$ aboutやaroundよりも堅い語です。
invent(他動)「〜を発明する」
【第2問】
「自分自身が招いた訳ではない資金問題に直面すると、このような学生たちは、自分が現在いるところにたどり着くことに手を貸してくれた多くの人々の高い期待に応えられないのではないかと不安を抱く。」
【解説】
冒頭のfacingからmakingまでは分詞構文です。文頭や文中にある分詞構文の考え方を確認しましょう。今回の英文は「時」の意味が妥当だと思います。
<文頭・文中の分詞構文の意味>
① 従属接続詞の省略(時・条件・譲歩・理由)
(ex1) Seeing me, she ran to me smiling. 【時】
(私を見ると、彼女はほほえみながら駆け寄ってきた。)
(ex2) Having seen the movie, she got bored. 【理由】
(その映画を見たことがあったので、彼女は退屈してしまった。)
② 付帯状況(同時)
(ex3) The girls, looking at the sunset, sat on the bench.
(その女の子たちは夕日を見ながらベンチに座っていた。)
③ 連続、連続的行為
(ex4) Saying goodbye to us, she left the room.
(私たちにさよならを言って、彼女は部屋を出た。)
主節側は主語がthese studentsで、"feel anxious about 〜"「〜が心配である、不安である」という表現が用いられています。aboutの目的語はfailing以下の動名詞句です。
さて、ここからは動詞を用いた重要表現の連続です。
① "fail to do 〜"は「〜しない、できない、しそこなう」という意味であって、「〜を失敗する」という意味ではありません。注意しましょう。
② "live up to 〜"は「(期待など)に添う、応える」「(主義・信念など)に従って行動する、生きる」という2つの意味があります。
③ "help + 人 + do 〜"は「人が〜するのを助ける、手伝う」という意味で、原形不定詞もto不定詞もとることができます。
④ "get to 〜"は「〜に達する、到着する」という意味が基本ですが、「〜に着手する、始める」「(人)を苦しめる」などの意味もあります。
動名詞句内では、expectationsをof以下が修飾し、peopleをwho以下の関係代名詞節が修飾しています。get toのあとには関係副詞節の先行詞the placeが省略されていますが、これは第1問で扱いましたね。
何だか忙しい英文でした。解説は以上です。
--- Words and Idioms ---
face(他動)「〜の方を向く」「(困難など)に直面する」
financial(形)「お金に関する」「財政上の、金融上の」
of one's own making 「自らが招いた」「自作の」