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1日2題の英文和訳 【解説編】 Dec.3.2024

今日も寒い朝ですが、穏やかな青空が広がっています。気温は一桁前半が当たり前になり、明日からは最低気温が氷点下の日が続くようです。そろそろ根雪かな?
それでは今日も始めましょう。

【第1問】
「生後7ヶ月になると、トシエは、同じ部屋に他の日本語話者がいるときは母親が日本語を話し、自分と母親だけのときには母親が韓国語を話すことに慣れたようだった。」

【解説】
文全体としては、once以下の従属節に対する主節が残りの英文全部で、その主節の中にまた主節と従属節がある構造です。once以下の従属節は特に問題ないと思います。

まず主節の動詞ですが、“seem to have p.p. 〜”という形になっています。この完了形の不定詞は『seemの時制よりも古い時制』を表しています。例文で確認しましょう。

<完了形の不定詞が表す時制>
単純形の不定詞(to + 動詞の原形)は文の動詞(ここではseem)と同一時制を表し、完了形の不定詞(to have p.p.)は文の動詞より古い時制を表します。

 ①【同一時制】seemが現在、不定詞句も現在
  (ex1) He seems to be a professional soccer player.
   (彼はプロのサッカー選手のようだ。)

 ②【時制のズレ】seemが現在、不定詞句は過去
  (ex2) He seems to have been a professional soccer player.
   (彼はプロのサッカー選手だったようだ。)

 ③【同一時制】seemが過去、不定詞句も過去
  (ex3) He seemed to be a professional soccer player.
   (彼はプロのサッカー選手のようだった。)

 ④【時制のズレ】seemが過去、不定詞句は大過去
  (ex4) He seemed to have been a professional soccer player.
   (彼はプロのサッカー選手だったようだった。)

この話は『主語繰り上げ構文』とも密接な関連がありますので、過去の週末英文法もぜひご覧ください。

本文の英文はさらに複雑で、seemedが生後7ヶ月時点の過去を表していますが、to have becomeはそれ以前の大過去の時点で「慣れた」状態が生後7か月児店まで影響を及ぼしている完了用法の意味合いも含んだ完了形と考えられます。ただし、日本語では「慣れた」で問題ありませんので、あまり難しく考えなくて良いかもしれません。

さて、“become used to”という表現のtoは不定詞を作るtoではなくて単なる前置詞のtoなので、toの直後に動詞を置くときは動名詞にしなければなりません。よってspeakingとなっています。speakingの直前に置かれているher motherは動名詞の意味上の主語です。

動名詞の意味上の主語は先月も登場しましたが、重要事項ですのでもう一度確認しておきましょう。

<動名詞の意味上の主語>
まずは次の英文を読んでみましょう。
(ex1) I am proud of being a science teacher.
  (私は科学の先生であることを誇りに思っている。)

この英文では、科学の先生をしているのは「私」であり、それが誇りであることを述べています。言い方を変えると、動名詞beingの意味上の主語は文の主語に一致しています。
もし科学の先生をしているのが文の主語とは別の人ならば、それを明示しなくてはなりません。その場合は動名詞の直前に名詞を置きます。

(ex2) I am proud of my husband being a science teacher.
  (私は自分の夫が科学の先生であることを誇りに思っている。)

また、意味上の主語が代名詞の場合には、所有格または目的格にします。どちらでも構いません。

(ex3) I am proud of his(him) being a science teacher.
  (私は彼が科学の先生であることを誇りに思っている。)

英文の後半にはandが登場しますが、これは2つの文を結んでいます。andの後ろの主節では繰り返し要素の省略が生じています。必要に応じて省略を復元して日本語訳を補いましょう。

① she seemed to have become used to her mother speaking Japanese
             when other Japanese speakers were in the room
  <and>
② (she seemed to have become used to her mother speaking) Korean
             when they were alone (in the room)

ただ訳すだけなら何とかなる英文なのかもしれませんが、細かく考えていくと非常にポイントの多い英文でしたね。

--- Words and Idioms ---
once(接)「いったん〜すると」
become used to doing 〜 「〜することに慣れる」


【第2問】
「どんな原文であれそれが翻訳されたときに起こることを考え始めるとすぐに、そのような考え方にまつわる誤りが明らかになる。」

【解説】
この英文は主節と従属節で構成されていて、“the moment”が「〜するとすぐに」という意味の従属接続詞であることが最大のポイントです。同じ意味の従属接続詞として“the minute”や“the instant”もあります。

主節の主語はthe faultでwith以下の前置詞句が修飾しています。動詞はbecomes、補語がapparentですね。

従属節は主語がwe、動詞がstart、目的語がto consider以下の名詞的用法の不定詞句です。
considerの目的語になる“what happens”のwhatは関係代名詞です。when以下はこの関係代名詞節に含まれます。

第1問とは異なってシンプルな英文でしたが、丁寧に訳したいですね。

--- Words and Idioms ---
fault(名)「責任」「誤り、間違い」「欠点、欠陥」
apparent(形)「明らかな、明白な」「うわべだけの、外見の」
 $${\uparrow}$$ 発音要注意単語です。カタカナで書けば「アペラント」です。
the moment SV 〜 「〜するとすぐに」
text(名)「本文」「文書、テキスト」「原文、原典」

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