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エドガー・ライトは「理想と現実」を描く監督だと思う

昨年最後に観た映画は『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』でした。

Twitterでふと見かけてから気になって仕方がなく、怖いと噂されていましたが、意を決して映画館へ足を運びました。

簡単にまとめると、イギリス・ロンドンのとあるエリアが舞台となっており、異なる時代を生きる2人の女性の夢と恐怖を描いたサイコホラー。

怖くないといったら嘘になりますが、ホラーが苦手な私でも問題なく見れる程度でした。『エスター』や『羊たちの沈黙』、デイヴィッド・フィンチャー監督の作品『セブン』を見れる人であれば大丈夫なレベルです。

感想を一言で言うのは難しいです。1960年代のロンドンがたびたび登場するため、画がとても美しいです。夜の街に輝くネオンや男女の欲が剥き出しの酒場やダンスフロアなど。決して上品な綺麗さではないものの、人間味が感じられる美しさというのでしょうか、映像に惹かれる人は多い気がします。

内容に関しては、衝撃が強めです。サイコホラーと言われる通り、精神的にくるものはありそうです。この映画から連想されるワードは「欲望、夢、現実、ギャップ、憎しみ」。ポジティブではないです。しかし深みのあるテーマ・出来でした。もう一度、映画の深みにはまりたいときに観たいです。昨年夏に公開されていた『プロミシング・ヤング・ウーマン』とイメージは似ています。



『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』を観て以来、似たような衝撃の強さの映画を観たい欲が高まりました。しかしなかなか見つからない。『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』と検索すると、監督であるエドガー・ライトの作品で評判が良いものに『ベイビー・ドライバー』という映画があるそうで。Prime Videoにあり、再生ボタンを押したら最後、あっという間に観終えていました。


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以下、話の核心はつかないよう心がけますが、多少ネタバレになるかも知れないので、今後観る予定の方はここで閉じてもらえたらと思います。

彼の映画をまだ2作品しか観ていないですが、総じて「理想と現実」を描くのが上手な監督だと感じました。

『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』では、夢を持った2人の女性が現実の恐怖を目の当たりにする。実際「理想と現実」って誰しもが日常生活で痛感するテーマではないでしょうか。

小さなことから大きなことまで、思い描いていた結果と実際のギャップに落ち込み、ときに絶望を感じてしまう。映画では、その絶望がより強く描かれており、そこから派生して、強い憎しみも感じられる内容になっています。

『ベイビー・ドライバー』も同じく、普通の生活を送りたいのに、悪い人から離れられず苦しむ主人公が印象的です。彼は普段「逃し屋」としてドライバーをしているのですが、とあるレストランのウェイトレスに恋をして、普通の日常生活を送ることを強く望むようになります。一瞬だけ悪から足を洗いピザ屋の配達員を始め、質素だけれど幸せな時間を過ごしていましたが、悪い知り合いに見つかり再び「逃し屋」に戻されてしまう。

普通の日常を送りたいという「理想」と、悪い仕事から逃れられない「現実」。このギャップを叔父や恋人など、周りの人との関わりを描きながら表現しているので、妙に現実感があり、内容に入り込めるのかも知れません。

観る側にそのような共感を与えるからこそ、「理想と現実」がより濃く浮かびあがるような気がしています。


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