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言葉に救われる

社会人になってから、悩み・葛藤が増えたような気がする。学生のころと違って自由な時間が少なく、それらの悩みに対してしっかりと時間を取って考えることが減ったゆえ、消えない悩みが多いと感じるのかもしれない。

そんな中、道標になってくれる言葉、暗闇から連れ出してくれる言葉に、どれだけ救われたことか。ふとしたときに出会った言葉が自分の信念になったり、もう二度と会えない人とのつながりを感じさせてくれたり。

本を読むのが好き。人と話すのが好き。SNSで流れてくる、ごく一般の人が紡ぎ出す言葉を見るのも好き。主にSNSの普及で言葉が氾濫する今だからこそ、無数の表現の中でグッと胸をつかまれる言葉に出会うと、慎ましく、しかしたしかな存在感のある喜びを感じる。

言葉は安らぎも与えてくれる。あるとき「ぼくが、一生の間に会える、ひとにぎりの人の中に、あなたがいました。」というコピーを知った。あぁ、たしかにと思った。同時に、これほど美しく大事なことに気づくことができて無性に嬉しくなったし、「ひとにぎりの人」が何人も思い浮かぶことに、上京して少し孤独を感じていた当時の私は穏やかな気持ちになった。

そういう、安らぎを与えてくれる言葉に出会うときの感覚って、例えば夕方に散歩をしていて、建物でも木でもなんでも良い、何かの端から鮮やかなオレンジ色に輝く夕日を見て、思わず立ち止まって深呼吸をするような感じと似ている。そういう瞬間って出会わなくても困らないんだけど、目にすると都会の喧騒の中で音も人も気にならなくなって、一瞬自分だけの世界にひょいと引き込まれて、とても穏やかな気持ちになれる。

そういう言葉にこれからももっと出会いたいし、自分が関わる人にも同じように、その人を無意識のうちに救うことができるような言葉を発していきたい。



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