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この街は、いつしか帰る場所になっていた

就職と同時に上京してから、早7ヶ月。実家から東京にある今の家に帰るとき、知らない場所へ行く感覚が強かった春から初夏も束の間。夏になり、秋が近づくにつれて、だんだんと東京に”帰る”感覚が強くなってきました。

地元と比べると、東京にいる友だちの数は圧倒的に少ないし、地元の友だちのように本音で赤裸々に、ときに真剣に話をできる相手はほとんどいない。常に実家の猫に会いたいと思うし、昔のバイト仲間や、中学校が一緒だった仲の良い4人で飲んでしょうもない話を延々としたい。そのほかにも思い出や自分が過ごした名残が地元にはたくさん残っていて、生まれてから23年間過ごした地元は、間違いなくホームだと思います。

けれどたった7ヶ月でも過ごした東京は、もうすでに、私にとって「帰る場所」になっていました。多くの人と情報に触れて揉まれ、気づきを得られる街。毎日何かしら最低一つは気づきや刺激が欲しいと思いながら過ごしていますが、東京はまさに気づきと刺激に溢れた場所だから、とても居心地が良い。街を歩けばいたるところに気になる広告やお店があり、自分が求めればあっという間に新しい人と出会える。人が多いから東京が嫌いという人もいるけれど、私は東京の街が持つ雑多な雰囲気がすごく好き。不快に思うこともあるけれど、総じて過ごしやすい街です。


地元に戻ると、直近数ヶ月の出来事を友だちと話し、結局「あれ、何話していたんだっけ」と記憶に残らない展開になって、それでも「まあいっか」と清々しい気持ちになりながら、次また会う約束をして実家に帰る。広々とした家で四肢を伸ばし、愛しい愛しい猫たちに囲まれ、朝起きるとベッドの隅で丸まっている様子を見ては、にやけながらモフモフなお腹に顔を埋めてぼーっとする。かなり幸せを感じる瞬間。

けれど5日もすると東京に戻りたくなります。まあ5日も帰省したことないんだけど。長くて3日だったけれど。今の私にとっているべき場所は東京で、少なくとも向こう数年間は変わらないでしょう。そう思ったとき、東京はいつしか、「行く場所」じゃなくて「帰る場所」になっていました。まだまだこの街で揉まれ、自立したかっこいい大人になりたい。

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