美術作品の中にある対象に「しっかり焦点を結ぶ」か否かというテーマが、近代美術のテクスチャー、マチエール依存の流布された低調なイデオロギーの裏にあった、ドミニク・アングルなどの隠された肯定的(これも近代以後と言える)提起の側面。同様にカメラオブスクラという機器を使ったレオナルド・ダ・ヴィンチの「ルネサンス」以後を、近代芸術と大きく捉える必要がある。
同時に、重要なのはカメラオブスクラも、ヨーロッパの発明ではないということ。古代ギリシャの自然哲学が、イスラム圏を通じて中世ヨーロッパに伝えられ、自然科学を生んだという文脈がここでも重要。ピンホールカメラの現象は、すでに古代中国や古代ギリシアで、葉の小さな穴などを通して像が結ぶということが発見されていたという。
参照。