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『ブッダが教える執着の捨て方』#スマナサーラ長老 #仏教書 #心理学

仏教で説かれる執着(upādāna)に関する分かりやすい解説と、執着から自由になる(遠離)ための練習法を教えてくれる本です。特色としては、仏教用語として定義された「四つの執着(四取)」を正面から取り上げていることが挙げられます。

四つの執着とは、①欲(五欲)への執着(kāmupādānaṃ)いわゆる物への執着、②見解への執着(diṭṭhupādānaṃ)自分の意見にこだわるということ、③儀式・儀礼への執着(sīlabbatupādānaṃ)日常ふつうに暮らしていることの中に潜んでいるしきたりや習慣に倣うといった頑固で無知な考えを生む執着、④我論への執着(attavādupādānaṃ)「自分はいる」ということへの執着で、①から④の順に根深く手放しがたいものとされます。本書では、四取の詳しいあらわれ方と克服の処方箋について、それぞれ一章を割きながら平易に解き明かしています。出版の狙いについて、「はじめに」から引用します。

仏教の教えからみれば、私たち人間は、「本物の自由」を経験したことなどありません。本物の自由を知らない私たちは、自由な心の状態を学ぼうと思ってもわかりません。だから、誰もが経験している執着・束縛について考えてみるのです。仏教に「遠離」という言葉があります。遠離とは、離れること、捨てること、手放すこと。遠離を追求するということは、すべての執着から離れ、真の自由を目指して成長するということです。遠離とは、自由な心を育てるための突破口となります。遠離の先にある本物の喜び、本物の自由を手に入れましょう。そのために、みなさんと一緒に、執着を手放すことについて、これから学んでいきましょう。

『ブッダが教える意志力の鍛え方』(だいわ文庫)

仏教徒ならずとも、「執着しすぎ」「執着は捨てたほうがいい」ということはよく言わますが、執着とは一体どのような心理現象なのか、どうすれば捨てられるのか、と具体的に教えてもらったことは誰もないと思います。ブラックボックのように思われていた執着について、伝統的な仏教心理学に準拠しつつ解剖した本書は、実はありそうでなかった企画。おそらく日本語の類書は一冊も見当たらないのではないかと思います。未読の方はぜひ手にとってみて下さい。

※この本は2014年6月14日に開かれたスマナサーラ長老の月例講演会『自由への突破口~遠離から喜びが生じる~』をもとにして構成されました。底本は2014年に刊行された『執着の捨て方 「私」を手放して自由になる』(大和書房)で、2017年に文庫化されました。

~生きとし生けるものが幸せでありますように~

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