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短編小説 / dawn girl
寝癖うざい。
なんでだろ、寝相良い筈なのに。
「眠、」
真夜中の冷たい空気は好きだ。いつも私を攫ってくれる。早く真夜中になって欲しい。星なんて出なくていい。ただ、あの冷たい真夜中になって欲しい。なんて、まだ夜明けすら来てないのに。
だから私はおひさまが嫌いだ。
目が覚めちゃったらとりあえずベランダに出て煙草。空気を吐いて風を浴びながら、なんか色々考える。在り来りなこと。世界が止まってるみ
短編小説 / かえり道の記憶
その日もココが選ぶ道を、いつもと同じ様に歩いていた。一本のもみじの木は家から畦道を歩いた先にあって、誰もいない山あいの田園には勿体ないくらいに目立っていた。
「かわいい子犬だね」
シワシワの白シャツと黒いワイドパンツ。肌が白くて、透けているみたいで怖かった。名前は、と私へ尋ねながらしゃがんで、その勢いで漏れた息が風を押して聴こえる。
「ココです」
「ココくん。いい名前」
変だと思った。性別を知ら