『シリーズ 学祖・山田顕義研究(第7集<追補>)』(日本大学広報部)

「後世に遺すべき、そして引き続き研究しなければいけないテーマ」。
読了したのは『シリーズ 学祖・山田顕義研究』(日本大学広報部)<2015・7・4読了>。
先月から、順を追って、拝読させていただきました。
抄録の存在はフレンドさんのお話によるとあったようですが、まさか読み通してこれだけのボリュームがあるとは思いませんでした。
メガネは必須アイテムの私には、上下二段組みは堪えました。
かといって、拡大鏡を用いるわけにはいきません。
本記事は過去に記事にしたものを加筆・修正しています。

第1集だったでしょうか、「本学の卒業生や在校生で、学祖の研究というのをついぞ聞いたことがない。」という私には衝撃的な言葉と出会いました。
たしかに、これまで聞いたことがありませんでした。
それが、大学を突き動かしたのではないか、と思います。
まさに15年以上の歳月を経て、成し遂げられた大業だと、卒業生としては思います。
母校の関係者より、地縁のある作家の方や他大学の関係者の方がよくご存知の史実もあり、悔しさみたいなものを覚えました。

前回の第6集で、ある程度思いのたけをふくめて、記させていただいたので、今回は第6集までに載せきれなかった小論集を追補の形で発刊されたものとして、紹介させていただきます。

主な小論の項目の列挙に留めておきたいと存じます。
カッコ内に、特段の肩書がない限りは母校の関係者です。

〇漢詩に見る学祖の三つの顔(丸山茂)
〇山田顕義と萩(萩女子短大・中原静子、対談にも登場)
〇山田顕義と高杉晋作(作家・一坂太郎、対談にも登場
〇山田顕義の見た欧米(久米美術館学芸員・伊藤史湖)
〇山田 兵から法へ(高瀬暢彦)
〇山田 司法大輔(高瀬暢彦)

その他、講演や特別寄稿文も収録されています。
全308頁にわたる素晴らしい追補だと、母校にかかわる人間としては、感慨深いものがあります。
惜しむなくは、15年の歳月を要する中で、重要な役割を担われた中大教授・本学講師の沼正也氏の逝去などもありました。
このシリーズの中での、学祖の墓所調査における大学あげての調査には、総合大学であることの素晴らしさを感じるとともに、こうした教育面において正当に吉田松陰の後を引き継いだ学祖・山田顕義の偉大さを感ぜずにはおられませんでした。
私にとっては、新発見もありました。
また、折を見ながら、このシリーズは読み直していきたいと思っています。本学の交友や在学生の皆さまには、あたっていただきたい資料や論文であると感じました。
どの学校でもそうですが、学祖がその学校を設立した思いや志を知ることは大切なことであるとも感じたシリーズ全7集でした。

そして、山田顕義はこんな言葉を残しております。
ご存知でしょうか?

「生きた。闘った。使命を全うした。人生に悔いはない。」。

こ存知の方には何もいいますまい。
今日が人生の最後の日であったなら、この言葉、言えますでしょうか。
私はもっともっと学恩に報いなければと、思いました。
そして、吉田松陰が山田顕義の元服の時に贈った言葉も添えておきます。
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「立志特異を尚ぶ、俗流と与に議し難し。身後の業を思はず、且だ目前の安きを偸む。百年は一瞬のみ、君子素餐する勿れ」。

(現代語訳)
志を立てるためには、人と異なることを恐れてはならない。
世俗の意見に惑わされてもいけない。
世の中の人は死んだ後の業苦を思うこともなく、ただ目前の安逸を貪っているだけである。
人の一生は長くても百年、ほんの一瞬である。
君子はいたずらに時を過ごすことのないように。
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感謝。
合掌。

今の現状を鑑みるに、その「志」を忘れた方々に憤りを感じます。
















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