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10/18(金)物々交換

今日は住み込みバイトがお休みの日。

宿自体も休館日の翌日のため、朝の時間帯はお客さんがいない。60代の先輩とゆっくり朝食をとる。
明日、天気が良ければ知り合いの農園でオリーブ摘みがあるらしい。京都の学生さんが毎年行っているプログラムだそうで、彼は定年を迎えた6年前から毎年参加しているとのこと。
もともとオリーブ摘みがしたくて小豆島に来ようと思っていた私。とても行きたいけれど、明日は雨予報のため難しそうだ。

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朝食後、宿の電動自転車を借りて、港近くの産直に向かう。そのまま食べられる野菜や果物が買いたい。

今日も穏やかな瀬戸内の海

10時過ぎ、産直に到着。自転車を停めて、中に入る。
袋にパンパンに詰められたピーマンが100円で売っていたり、ザクロが3つ200円で売っていたり。

知り合いが焙煎しているコーヒー豆も売っていた。目に留まる。

店名ではなくフォントで気づいた知人のコーヒー豆屋さん

たくさん迷ったけれど、黒いいちじくが売っていたのでそれを買うことにする。ビオレソリエスという品種らしい。初めて見た。

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コーヒーが飲みたいと思った。Google Mapで気分に合う喫茶店を探す。
海が見えるところもいいけれど、今日は天気が良くて照り返しがキツそうだからやめよう。落ち着けそうなところがいい。

次の目的地の近く、ビルの2階にある喫茶店に行くことに決めた。
入ると、おばあちゃんがいた。「飲み物しか出せないけどそれで良ければ」と言って、中に入れてくれる。暑かったのでアイスコーヒーを頼んだ。

甘い…!甘いぞ!これが噂の「昔ながらの喫茶店で出てくるシロップ入りのアイスコーヒー」か!東京でコーヒースタンドを営む友人が、コメダ珈琲でモーニングをしたときに教えてくれたことを思い出す。

お茶請けにオリーブやバナナ、マスカットにロールケーキまで出てきた

自分が1ヶ月だけ小豆島の宿で働いていることを話したり、お店は今47年目でもともと旦那さんと2人で営業していたことや、かつては近くの高校生がよく来ていて盛況だったことを聞いたりした。

「どうしてここ来てくれたの?」と聞いてくれるので、今日の朝産直に行って、そのあとコーヒーが飲みたくなって…と伝える。いちじくを買ったことを思い出し、お茶請けたくさんもらったなぁと思って「おひとつどうぞ」と手渡しする。「じゃあ遠慮なく。ありがとうね」と受け取ってくれた。

島に来てから、ほとんどもらってばかりの毎日だったけど、ようやく「返す」「あげる」ができた。(まずお茶請けを「もらって」いるのだけど)

その後も雑談をしながら過ごす。「小豆島ってそうめんが有名なんですね。知りませんでした」と何気なく伝えると、袋にそうめんを3把詰めてくれた。「宿で茹でれるの?持っていきな」と手渡してくれる。おばあちゃん曰く、いちじくのお礼らしいけれど、あぁ、またもらいすぎてしまった、と思った。「あげる」で終われない。

「買ったら700円するわよ」と言いながら手渡された小豆島そうめん

近くの和食屋さんにお昼を食べに行く、と伝え、会計をする。アイスコーヒー1杯370円。安すぎる。「また来ます」と伝えて店を出る。外までお見送りしてくれた。また来ます。友達にもオススメします。

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昼は気になっていた和食屋さんへ行く。先月オープンしたばかりらしい。

自転車を停めていると、ちょうど店の前でタクシーが停まった。ランチの約束をしていた彼女だった。

9月、東京の同僚が最近知り合った彼女。その時、私は小豆島に行くことだけは決まっており、同僚が彼女に私の話をしてくれたらしい。運良く島で会えることになり、ランチをすることになった。

初めましての挨拶をして、彼女の仕事について話を聞く。
小豆島を含む瀬戸内で複数の事業に関わっていて、エリアマネージャーと呼ばれる仕事をしているらしい。東京では観光を用いた浅草の再生プロジェクトのようなものに長らく従事しているらしい。どっちの仕事も、とても興味がある。面白そう。

ランチは日替わり御膳をいただく。
どれもこれも美味しかったけど、ちりめん山椒ご飯とあこうの煮つけ、(メニューにないので分からないけど)マス寿司(みたいなやつ)が特に美味しかった。
数日前、島に住む友人のお家で食べさせてもらった変わった形の豆は、天ぷらになって出てきた。甘くておいしい。

日替わり御膳2200円

知人が作っているクラフトコーラがメニューに載っていた。島の至る所で見かける。そのたびにちょっと嬉しくなる。
知人とは島にいる間に会えそうでワクワク。

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ランチを終え、「また東京で」と言葉を交わす。彼女は仕事に戻って行った。

私はどうしようかと考える。宿に戻り夜まで休憩するか、知り合いのコーヒー豆屋さんまで頑張って行ってみるか。悩みながら、とりあえず宿の方向へ自転車を漕ぐことにした。

充電はまだ大丈夫。コーヒー豆屋さんに行ってもまだ余力がありそうな感じだ。うーん、行けるときに行ってしまおう。

いつも曲がる宿の前の道を直進し、トンネルをくぐる。未知のエリアに突入だ。

トンネルを抜けると、いつもと違う海が広がっていた。思わず写真を撮る。いつもは見えない島が見える。

バッテリーの残量を気にしながら、店主が書いたざっくりすぎる地図を頼りにお店に向かう。汗だくでなんとか到着したとたん、「あ、なみすけやろ」と言われる。こちらが一方的に知っているだけだと思っていたのに、まさか知られているとは。聞くと、ここの豆を仕入れているコーヒースタンドを営む東京の友達が「行くかもしれません」と店主に連絡を入れてくれていたのだそう。そういう気の回し方が、ありがたい。

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ドリップの道具を何も持っていないことを伝えて驚かせ(困らせ)つつも、豆を選ぶ。中深入り、午後ねおやつの時間に飲みたくなるようなものを選び、試飲させてもらう。

ここはカフェではない。コーヒー1杯何百円という売り方はしていない。豆を買いに来る、そのために試飲する。あくまでここはコーヒー豆屋なのだ。

試飲という名のここに居てもいい言い訳を手に入れて、小一時間話をする。テニスの話題で盛り上がった。来年の12月8日、団体戦に一緒に出ることになった。

思いがけずドリッパーとフィルターを手に入れてしまった。ついにコーヒーデビュー。

常連さんらしき人が来て、少しだけ一緒に話す。島のおすすめの店を教えてもらった。

私は会計を済ませて先に店を出る。また来よう。
自転車を走らせ、宿の前まで来る。通り過ぎる車を待って道を横断しようとしたら、窓からさっき会った常連さんが顔を出して、手を振ってくれた。オレンジ色の目立つ自転車で良かった。嬉しかった。また会える気がしてくる。

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朝10時から夕方16時半まで自転車を走らせていたため、さすがに疲れた。自室にもどり、仮眠をとる。

夜はリゾートバイトメンバー3人でご飯を食べに行く。車で連れていってもらった。

行きたかったお店に行ってみるが、40分ほど待つ必要があったため、近くにある別のお店に行ってみる。すぐ入れるとのことだったので、こちらのお店に変更した。

野菜が食べたくて、オリーブ牛の野菜カレーをオーダー。ディナーは必ずセットらしく、季節のスープ、そうめん、デザート、ドリンクまで付いてきた。お腹がはちきれそうだった。

野菜がたくさん。かぼちゃが甘くて美味しかった。

60代の先輩が「おっちゃんが出したるから」といってご馳走してくれた。代わりにいちじくを1つあげた。

今日はいちじくが通貨だ。日頃からすぐに渡せる何かを常備しておきたい。

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もりもり楽しんだ休日。一人でも、向かった先には誰かがいるし、約束して人と過ごしたりもした。楽しい1日だった。23時に就寝。フルで楽しんだ後は、よく眠れる。

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