社会保険労務士・倫理研修必須受講☆彡
私の保有する国家資格の社会保険労務士には、個人会員が5年に1回、必ず受講しなければならない「倫理研修」があります。
私も、過去に何回か、集合研修の形態で受講したことがありますが、この感染症禍とテクノロジーの進歩により、このたび受講することとなった令和4年度倫理研修は、eラーニングによる受講に切り替わっていました。
※私は、PCではなく、スマホにて受講しました。通信速度もそれなりに快適でした。
倫理研修とは、通常の企業で言うところの「コンプライアンス研修」に相当しますが、コンプライアンスとは、「法令遵守」という意味であり、法令による独占領域を持つ社労士が、法令を守るのは、半ば当然であることから、法令だけではなく、「倫理」も踏まえた活動をしていこうという意味であると、理解しました。
実は、社労士の職責は、社労士法第1条の2(社会保険労務士の職責)に、次のように規定されています。
「社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。」
※傍点、筆者。試験にも出る重要論点。
今回の3時間余にも及ぶ倫理研修の中で、繰り返し、講師が指摘したのは、「法令に精通」は当然として、「品位・公正・誠実」という論点でした。
私が、社労士講座を受けていた頃は、コンプライアンスの黎明期であり、開業社労士でもあった予備校の担当講師は、私の当時の感覚からでも、法令遵守の観点で、かなりきわどい発言をされていたのを記憶しています。
※今だったら、イエローカードでしょう。
時代は進み、今や社労士の国家資格者としての品位・公正等の観点での苦情が寄せられるケースが増えてきているのだと言います。
平成27年12月、「社員をうつ病に罹患させる方法」という内容のブログを公開していた社労士が、厚生労働大臣による懲戒処分等を受ける事案がありました。
当時、テレビ等で大きく報道され、世間の注目を集めましたので、記憶されている方もいるのではないかと思います。
この社労士は、ブログにおいて、自分の考え方を発表したものの、実際に違法行為を行っていたわけではなかったのですが、そのブログの内容が、労務管理に関する国家資格者である社労士の職業倫理に照らし、あまりにも不適切であるということから、厚生労働大臣等による処分ということになったのです。
この事例が示しているように、社労士の行為が職業倫理に照らして、不適切と判断された場合には、懲戒処分もあり得るということなんです。
つまり、時代は進み、業務に関係する法律に精通し、これを遵守するという法令遵守はもとより、職業倫理の本旨を自覚して職務に当たるということが求められるようになって来たと言えるのですね。
社労士法第1条の2の条文にあるように、「法令遵守」のみならず、「品位」と「公正かつ誠実に業務を行う」が、社労士の行動基準であるということについて、改めて強く認識する必要がある時代となったのです。
事例研究では、次のような事例が挙げられていました。
①「払わなくていい残業代を払っていませんか。必ず残業代を削減する方法を教えます。」というチラシ広告。
②コンサル会社からの助成金の申請業務代行で、コンサル会社が受け取った報酬から社労士に代行業務の報酬を支払うというもの。
③障害年金の受給申請にあたり、医師に診断書を書き直してもらい、年金は支給となったが、報酬の点でクレームになったケース。
論点は「品位・公正・誠実」ですぞ! しかしながら、これらは、社労士でなくとも、社会に共通して、大事な論点ですよね(^^;)。
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