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「赤残預金口座」による資産形成の幻影

 「赤残預金口座」って言葉、知っていますか。つまり、定期預金を担保にした総合口座(普通預金口座)の貸付が起こっている残高がマイナス(赤字)の口座のことです。

 一般的に、担保とする定期預金の合計額の90%または200万円などの限度額のうちの小さい額まで、定期預金の約定利率+0.5%の利率で、総合口座(普通預金口座)が、引落しなどでマイナスになったときに、自動貸越をしてくれるものです。

 これは、引落しに限らず、自分でATMなどで降ろした際も、限度額まで自動貸越してくれます。

 これは、ある意味、すごい便利です。

 通常の消費性のローンですと、平気で年15%位の貸付利率を取る中で、定期預金の利率が現状、年0.002%のような状態ですから、事実上、貸付利率は、年0.502%となり、破格の貸付利率となります。

 まぁ、そういうことで、私も銀行の口座開設以来、ある時期まで、半ば自動的に総合口座にしていたわけです。

 総合口座にして、最初のうちは、口座がマイナスになる(これが「赤残預金口座」というヤツです。)と、イヤだなぁと思って、とにかくプラスに持って行こうと努力するんです。

 貸付利息がいくら低いって言ったって、無駄なものですから、まぁまぁ努力します。

 この努力により、預金口座からの引出しを抑制し、精神の力(!?)により、資産形成を図るというのが、「赤残預金口座による資産形成」という謎の(!?)テクニックです。

 ところが、次第に慣れてくると、「赤残預金口座」であることが、常態化してきてしまうのです(結構、世の常のようです。)。

 そのため、あろうことか、貸付限度額までなら借りられるという変な意識が芽生えてしまうのです。

 私は、そんな中でも、普通預金口座の残高管理は欠かしませんでした。

 給与日の夜間、給与日以降から翌月の給与日前日までの預金口座の残高推移を克明に予測し、そのうえで、ここまでならマイナスになってもいいかななんて思ってしまっていたのですね(「何たることをサンタルチア」)

 貸付利息は、毎年、年2回、発生するのですね。私の銀行では、2月と8月でした。

 ところが、ある年、貸付限度額目一杯まで借りている状態の中、貸付利息の発生を失念していたのです。

 そして、その貸付利息のわずか数千円が、総合口座から、残高不足で落ちなかったのです!! (「続・何たることをサンタルチア」)

 銀行からは督促状が来て、ようやく、私は反省しました。

 そして、次のようにすることとしました。
 「この際、総合口座は解消しよう。」

 つまり、定期預金の一部を解約して、貸付元利金の返済に充てるとともに、総合口座としての自動貸越制度を止める旨、銀行側に申し出ました。

 どうせ普通預金口座の残高管理はみっちりやっているのですから、通常運行では、残高不足にはならないのですし、ましてや、貸付利息の発生などの事前予告のない引落しなども通常はありませんからね。

 総合口座で、貸付が発生すると、自動的な積立定期預金や積立投資信託の積立も停止してしまいますから、資産形成的にも、バカだなぁと思っていたところだったんですね。

 総合口座を解消して、もう何年も経ちますが、その後、困ったことは全くありません。

 むしろ、自動積立が走ってくれ、コツコツ的な資産形成の方が有難いです。みなさんも総合口座のメリデメを考えた方がいいですよ。

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