見出し画像

「奨学生」の明るい未来を語って欲しい

 私たち夫婦は、生まれてこの方、ずっと朝日新聞購読者の家庭に育ってきたのですね。

 橘玲著の『朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論』も読んだことがありますが、朝日新聞は、嫌われている人からは、相当嫌われているようです。

 朝日新聞の亡くなった元首相嫌いは相当なもので、私のような比較的穏当な方でも、批判のやり過ぎではと思うような内容が多々ありました。

 そういう中で、私が朝日新聞の購読者であり続ける理由は、他社の新聞の活字に馴染みがない、天声人語に魅力がある、いしいひさいちのファンである(朝刊の連載4コマ漫画、『ののちゃん』の作者)などありますが、やはり、私の大学時代、朝日新聞奨学生という立場で、販売所に住み込み、朝夕刊を1年間、配達し続けて、奨学金をゲットした経験が大きいです(マジで根性が付きますよ!!)。
 ※私の新聞奨学生は、1年の契約でした。

 朝日新聞の販売所のことは、今は、ASA(Asahishimbun Service Anchor)と呼ばれており、新聞配達員は、ASAの制服を着ていますね。みなさん、見たことがありますか。

 この意味は、「朝日新聞を読者にお届けするサービス部門の最終ランナー(Anchor)、そして、読者と朝日新聞をつなぐ碇(Anchor)」という意味なんだそうです。

 新聞奨学生だった頃、同じ販売所に住み込む先輩が、新聞奨学生をモデルにした漫画の単行本を貸してくれて、その漫画の中で、主人公が「新聞配達員は、“報道の最前線”にいるんだ。」と言っており、「社会の底辺すれすれなのに、うまいこと言うなぁ。」と感じていました。
 ※ちなみに、その漫画は、明らかに朝日新聞の販売所をネタにしていることはすぐわかりましたよ。タイトルは忘れました。10週で連載打ち切りの漫画だったようです。

 この漫画の主人公と同じことを、今や、朝日新聞本体が言っているのは、面白いです。

 漫画の主人公には、「新聞奨学生と言うと、“モテる”と勘違いするシーン」がありましたが、おそらく、当時、働いている奨学生は誰もそんなことを思っていなかったのではないかと思いますよ(^^;)。

 今、朝日新聞は、日本学生支援機構の奨学金返済が厳しく、未返済になっている問題を、盛んに取り上げていますが、次のことを忘れていますね。

①その奨学金が借りられたから、大学に進学できた点

②資本主義経済のあり方として、忘れてはならないのは、「借りた金は返せ」という点

 私も、今の日本学生支援機構(旧・日本育英会)からも、奨学金を借りて、大学進学しました。

 私がラッキーだったのかもしれませんが、ちゃんと耳をそろえて、返済していますよ。

 朝日新聞は、社会的少数者の擁護のことを取り上げるケースが多いのですが、それはそれで大変大事ですが、まっとうに生きて、まっとうに労働して、まっとうに納税して、まっとうに家族を養って、そして、まっとうに奨学金の返済も行って、ちゃんと社会を生き抜いている「普通の人」のことは、ほとんど取り上げられません。

 こういう「普通の人」は、「普通の人」なりの苦労があって(これは小さなこととは限りませんよ。)、それでも、社会に対して、大きな声も挙げず、ただ、黙々と自分の仕事をしているのです。

 私は、こういう「普通の人」が頑張っているから、この国が回っているのだと思っているんですね。

 朝日新聞には、ただ権利の主張だけするのではなく、普通に、労働し、納税し、家族を養い、そして、きちんと奨学金を返すという、「良い塩梅」の“明るい未来”のケースを紹介して欲しいと心から思います。それが世の中の真のグッドコースなんですから。

いいなと思ったら応援しよう!