その資格取得には“その後”はあるか?
社会保険労務士の資格試験予備校の初回講義のとき、講師の社労士は、こう呼びかけました。
「みなさんの中に、合格後、社労士として開業するつもりの人はいますか?」
ところが、誰も手を挙げません。私も、手を挙げませんでした。
社労士は、法律として占有分野を有し、しかも、年度内に決まって発生するルーチン業務を有していることから、一定数の顧問先(主に中小企業)を獲得できれば、食っていくことが可能な資格と言われています。
ちなみに、社労士は、大きく言って、3つの社労士に分類できます。
①開業社労士(開業し、看板を張る。社労士法人も含む。)
②勤務社労士(開業はせず、労務・社会保険などの分野について、勤務する企業内の人事部等で資格を活かす。)
③その他社労士(開業はできないが、執筆・講演などで社労士資格を名乗ることができる。)
私は、当時、営業職員向けの研修部門にいて、税務やライフプランなどの講師を担当していましたから、上記の①の開業社労士ではなく、②の勤務社労士の立場で、研修講師であることの力量を見せる一環として、その資格を活用しようと考えていました。
ですので、先の講師の質問に対して、“積極的に”手を挙げませんでした(変な言い方ですが。)。
現在の私は、社労士、CFP、1級FP技能士、1級DCプランナー、保険コンプライアンス・オフィサー2級などの資格を有していますが、いわゆる「資格コレクター」的な取得-保有すると格好いいじゃんくらいの取得意図-をしたわけでは、全くありません。
私は、社会人になってまもなくの頃から、自分は講師に向いている、講師になりたいと言い続けていました。
※周りからは、「何を酔狂な」と思われましたが、私は結構真面目でした。
しかしながら、当時、若い人を自社内で講師にするという慣例はなく、ずいぶん、働きかけをしましたが、一番の近道は、わかりやすい資格を保有することと理解しました。
したがって、私の資格保有の目的は、極めて明確で、「自分を講師たらしめるため」の一点にありました。
見てのとおり、資格の類似性・関連性からもわかるように、保険分野に特化した資格取得・保有になっています。
私は、決して「資格コレクター」ではないですし、業務に関連しない資格を取得するつもりも、さらさらありませんでした。
転勤して行った同期社員が、転勤先で勉強に励み、宅建士の試験に合格したとのことで、連絡してきました。
「貴君が宅建士の資格を持っていると聞いて、資格の登録(有料)をしているのか、知りたいと思って。」
「合格したなら、資格登録すれば。ちなみに、私は、宅建士は持っていないよ。」
私には、合格後、その資格をどう活かすのか、明確なビジョンがないのに、資格取得に時間を費やすことがよく理解できません。
保険関係に勤める者で、宅建士の資格が活きるのは、不動産運用分野にいる者だけですので、そういった活用の仕方を考えているのならいざ知らず、登録するかしないかさえのビジョンもないなんて、非常に残念なことだなと感じました。
取りやすさを考慮した上で、国家資格でちょっと格好いいなんて感度で、取ったとしたら、時間の無駄のように感じてしまいます。
どうせ資格取得をするのならば、資格取得をした“その後”の展開を考慮して勉強に臨むべきです。そうでないと、単なる「資格コレクター」になってしまいますよ(>_<)。