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エルニーニョ現象の影響、未知の人々“イゾラド”の悲劇(=アマゾン)

去年、アマゾンを襲った干ばつの影響もあるのか、イゾラドが森で十分な獲物をとれていない可能性があるということです。食料が足りなくなって活動範囲を保護区域外に広げたのではないか、イゾラド保護の担当職員ウィルソンさんは分析しました。

2025年1月8日
NHK NEWS WEB



中央太平洋エルニーニョ現象(2023~2024年)による干ばつ

その影響はアマゾンの原住民イゾラドにも及んでいます。

パナマ気象水文研究所 ルス・カルサディージャ所長

「今回の干ばつは(中央太平洋エルニーニョが発生した)2014年~2016年と非常によく似ています。2024年1月には中央太平洋エルニーニョ現象が出現し、2月末に最大になりました。

2024年3月7日
NHK NEWS WEB
パナマ気象水文研究所 ルス・カルサディージャ所長

東太平洋エルニーニョとも呼ばれる伝統的なエルニーニョは、東太平洋の温度異常を伴います。しかし、直近20年間で通常とは異なるエルニーニョが複数観察され、通例だと南米の太平洋岸沖合は影響を受けないのに、中央太平洋エルニーニョでは影響を受けています。

ウィキペディア

隣り合う集落の人々がイゾラドに遭遇

隣り合う集落で生きる人たちは、これまでの知識や経験が通用しない状況でも、彼らは目の前の現実に向き合おうとしています。

イゾラドが行動範囲を広げ、アマゾンの森の奥から出てきました。

2024年10月21日、釣りに出かけていた集落の男性が、森に戻る彼らに遭遇すると、イゾラドが矢を撃ってきたといいます。矢は、履いていたジーンズの革のベルト部分に当たり、辛うじて刺さらなかったということです。

2025年1月8日
NHK NEWS WEB

攻撃的になった“イゾラド”

5日後の接触のあと、イゾラドは保護官に矢を放ち、1本が命中。

矢は肩から肺を貫き、心臓まで数センチのところにまで達していました。ひん死の重傷でした。

翌日、ペルー政府は軍のヘリコプターを派遣し、隣り合う集落の住民を緊急避難させました。

2025年1月8日
NHK NEWS WEB
イゾラドが放った矢で射貫かれた保護管

新モンゴロイドの大移動と日本人

遺伝学は、ときとしていくつかの予期せぬ結果をもたらします。

たとえば、アジア及び太平洋のすべての人々のうち、ネイティブ・アメリカンはその血液型の遺伝的標識からいって日本人(弥生人)に最も近いということが分かりました。

このことは、ネイティブ・アメリカンの祖先のほぼ全部が、2万2千年前~
1万1千年前の北東アジア人から来ていて、北東アジアではそれ以来多くの人口統計的変化が起こっていることを考えるなら、それほど驚くにはあたりません。

(2万2千年前のエスキモーの祖先集団のABO式血液型の頻度は、
O型45%、A型30%、B型20%だった可能性が高そうです。)

ジョナサン・キングドン

旧石器時代の狩猟民に由来するY染色体ハプログループQ1a1

シベリア南部のアフォントヴァ・ゴラ遺跡から出土した約17,000年前の後期旧石器時代の人骨は、古代・北ユーラシア人の代表的な標本の一つであり、Y染色体はハプログループQ1a1に属することが判明しています。

ウィキペディア

エスキモーにおいて高頻度で観察されていたハプログループQ1a1は、後の研究により、Q1a1bに属する可能性が高いことが示唆されています。

Q1a1bに属することが確認されている最古の標本は、古シベリア人を代表する標本の1つとして知られる、シベリア北東部のコリマ川流域で発見された約1万年前のKolyma1個体です。

ウィキペディア

アメリカ先住民の Y 染色体ハプログループのほとんどはQ系統が占めます。Q はイラン付近で31,400年前または22000年前~17000年前に発生したと考えられ、その後中央アジア、アルタイ山脈北辺を通り、北シベリアのステップでマンモスなど大型哺乳類を狩りながら移動し、アメリカ大陸に移住していったと思われます。

ウィキペディア

2万3000年前の足跡を発見! (=北米)

英ケンブリッジ大学の遺伝学者、アンドレア・マニカ博士は、北米大陸の人類史に重要な意味を持つ発見だとしました。専門外のため年代測定の信頼性についてはコメントできないとしつつ、

2万3000年前に北米に人類がいたという確固たる証拠は、約1万5000年前〜1万6000年前に北東アジア人からネイティブ・アメリカンが分かれたことを明確に示す遺伝学研究とは食い違っている
とBBCニュースに述べました。

2021年9月24日
BBC

北米大陸の最初の住民は東部日本の北方系プロト・縄文人?

3万年前、北東アジアで寒冷地適応していたホモ・サピエンスは東部日本の旧石器人(北方系プロト・縄文人)が唯一無二の存在です。東部日本のプロト・縄文人は千島列島を経て北米大陸に上陸していたかもしれません。


古代・中南米人に旧人類のDNA

中南米パナマとウルグアイの古代人のゲノムにネアンデルタール人とデニソワ人のDNAが含まれていたということです。

2022-11-12
カラパイアさんのブログより

さらにパナマのとある遺骨からは、プロト・オーストラリア人(オーストラリア、ニュージーランド、ニューギニアなどを含む地域の人々)に由来するらしき痕跡も見つかりました。

2022-11-12
カラパイアさんのブログより

3万4000年前、海水準低下によりサフルランドが拡大。3万2000年前までに、サフル人(プロト・オーストラリア人)の集団がメラネシアのソロモン諸島に到来したようです。

ジョナサン・キングドン

日本の南西諸島の旧石器人はプロト・オーストラリア人由来?

古代・中南米人にプロト・オーストラリア人由来のDNAが見つかったということは、旧石器時代の南西諸島に移住したプロト・縄文人には、スンダ人のほかに、サフル人(プロト・オーストラリア人)の集団もいたことを示唆しています。

オーストラリアの古い時代の人類の形態的多様性を説明してくれる考古学的証拠(例えば石器形式)は、まだ存在していません。

クリストファー・ストリンガー

アマゾンの森林伐採

水に対する態度が、自然と人間との変わりつつある関係の、典型例です。

水は全ての存在にとって絶対必須のものであり、あらゆる動植物は、それが多すぎたり少なすぎたりすることの弊害を逃れることはできません。

ジョナサン・キングドン
干上がったアマゾン川支流
2024年10月5日
NHK NEWS WEB

守銭奴たちの確信の向こうに待ち受けるものを、敗北したマイノリティのメンバーたちは、よく見通すことができたはずです。

例えば、アメリカ先住民の猟師たちのように、鋼鉄製のノコギリが祖先伝来の森の樹木を切り裂くのを聞き、清流がどろどろとした汚水に染まってゆくのを見ながら、ただ無力な恐怖のうちに立ちつくす以外にはなかったのでした。

ジョナサン・キングドン

何世紀にもわたって、奪われた者たちの不満は、新たな所有者たちのけたたましい主張によって、かき消されてきました。これはかつてそうであったばかりか、今なお現実です。

ジョナサン・キングドン
不法な森林伐採(=アマゾン)
2023年7月8日
BBC

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