結婚相手との出会い
以前,ある自治体から婚活者に対する講演依頼を受けていたのですが,諸事情により講演できなくなりました。話そうと考えていた内容は以下です。
1. 結婚の時代的変遷
2. 婚活の実態
上記の話のうち,今回は1についての記事(後半)です。前半は「結婚の時代的変遷」です。講演の際に使用予定であった資料をもとに文章化しました。
出会ったきっかけ
結婚している人たちはどのようなきっかけで出会っているのでしょうか。2015年に実施された「第15回出生動向基本調査」によると,「職場や仕事の関係で」の出会いが最も多く(33.2%),「友人や兄弟姉妹を通じて」(28.6%),「学校で」(11.2%)が続きます(図1)。これら上位3つで全体の7割強を占めます。そう考えると,多くの人は自分の生活圏で出会っていると言えます。
図1. 出会いのきっかけ(国立社会保障・人口問題研究所より)
結婚相手との出会いのきっかけに応じて以下のように「見合い結婚」と「恋愛結婚」に大別して年次推移を示した図があります(図2)。この図からは,1960年代後半を境に「見合い結婚」と「恋愛結婚」が逆転していることが読み取れます。
見合い結婚
・見合いで
・結婚相談所で
恋愛結婚
・学校で
・職場や仕事の関係で
・幼馴染・隣人関係
・サークル活動や習い事で
・友人や兄弟姉妹を通じて
・街なかや旅先で
・アルバイトで
図2. 恋愛結婚・見合い結婚の推移(国立社会保障・人口問題研究所より)
この図に,戦後ほぼ全員が結婚していた「皆婚時代」と呼ばれる時代範囲(1970年頃まで)を重ねて示してみました(図3)。この図から読み取れるように,「皆婚時代」と呼ばれていた時代は「見合い結婚」によって結婚している人たちが多く,「恋愛結婚」による結婚は少数派でした。1970年以降,生涯未婚率が徐々に高くなっていくのですが,「見合い」の力が弱まったことと,結婚しにくくなったことに関連がある様子が窺えます。
図3. 皆婚時代を重ねて示した恋愛結婚・見合い結婚の推移
出会いのきっかけと初婚率の減少
実際,どのような出会いのきっかけが減少したことによって,初婚率が減ったのかを見てみると,「見合い結婚」の減少が,初婚率の減少に大きく関係しています(図4:岩澤・三田,2005)。その次に大きいのが「職場や仕事で」です。「見合い結婚」と「職場や仕事で」という2つの出会いのきっかけの減少が,1970年から2000年の初婚率の減少の大半の要因であることが示されています。
図4. 出会いのきっかけと初婚率の減少との関連(岩澤・三田,2005)
ここから見えてくることは,日本における「自由恋愛の下手さ」です。さて,それはどういうことでしょうか。
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