ドラマ「35歳の少女」に見る母娘関係
ドラマ「35歳の少女」ヒロインの望美が交際を母親に話したとき「私か結人くん(彼氏)か選びなさい」と言った母親。結局ヒロインは「選べないよ」と困惑するも、最終的には彼氏を選び家を出て行った。
なぜ選ばねばならない???両立するやんけ、どっちも好きでいいじゃんか。人は1人しか愛せないのか?とモヤモヤ。
脚本が悪いわけじゃない。それは前もって断っておく。
「35歳の少女」という作品は、10歳のヒロインが事故に遭い25年の寝たきりから目覚めるところから始まる。
このどちらか選べは、親が娘を手放したくないが故の発言であろう。母親は25年つきっきりで看病し、その間には離婚やヒロインの妹の独立などで孤独となった。寝たきりで離れていかないヒロインだけが手元に残りそれが生きがいとなっていたのだろう。
これ以外にも依存的な過保護・過干渉の描写は目立つ。彼氏の気配をよしとせず、「会うな」と言ったり、出かけて遅くなれば怒り、撤回はしたが部屋に監視カメラを設置したことも。全て「あなたが心配だから」の名の下に。
これらの行動が起こるのはなぜか?「35歳の大人」の親に母親がなれていないからだ。10歳の子に接するかの如く、接しているから自分が思うより早く「35歳」に適応し「成長」して行く娘を過度に心配して縛るようになるのだ。
さしあたり、ドラマの描写はそんなところだ。10歳から25年寝たきりで付きっきりで看病してきたらこう母親が依存的に過保護になるのは不思議なことではない。そしてヒロインも10歳から一気に心が35歳となるわけではないので、心配なのも自然な感情だ。一概に毒親だーとも言いづらい辛い背景がある。
しかし、世の中にはそんな階段を飛ばした成長をせず毎年年を重ねる様子を見てきたのにもかかわらず、「35歳の少女」の母親になっている母親が少なくない。これはとんだ寝ぼけたことで毒親と言えるたろう。
いつまでも子どもが子どもだと思ったら大間違い。その年にあった接し方、距離感、関係性がある。そんなことを気づかせてくれる作品だ。
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