マルチ勧誘されそうになった話
※もちろんこのお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
その日は15時くらいから酒を飲んでいた。磯丸のハッピーアワーが17時で終わって(はやい)、そこから立ち飲みのせんべろ居酒屋に行った。てんぷらが美味しかったけどその時点で結構ヤバくて立っているのもしんどかった。HUBのハッピーアワーに滑り込み、安く大量に飲酒したところで吐いた。目が回っていた。
吐いたらスッキリして気分も良くなり、ついつい見知らぬ女性に話しかけてしまったのがすべての終わりだった。その日話した内容はあまり覚えていないが、多分当たり障りのない話をしていたはず。気がついたらLINEを交換していた。翌日、LINEで昨日のお礼を言うと、今度ご飯でも行きましょうとの返事が。社交辞令だと思って適当に返していたら10日後には会っていた。びっくり。
彼女は学校に通い、資格を取らないとなれない某職業に就いていた。(私の母親と同じ)今は毎週末”師匠”のもとでビジネスを学んでいるらしい。数年以内には転職をし、やがては起業を目指しているという。彼女は常に笑みを浮かべ、2億円稼ぐ人の話や、ハワイに移住した人の話をしてくれた。彼女曰く、それは”ワクワク”することらしい。
ただ黙って話を聞いていただけの私に、彼女は”課題”を出してくれた。それは、『金持ち父さん 貧乏父さん』を読むこと、人生の目標100個を書き出すことだった。私は馬鹿正直にそれを実行した。その時点では何も疑っていなかった。
『金持ち父さん 貧乏父さん』は要するに不労所得を目指すためのヒントとなることが詰め込まれており、ネットワークビジネス(いわゆるマルチ商法)を肯定するような箇所もあった。これを読んだとき、なんとなくヤバいと感じた。読み終えてからまもなく、これがマルチ勧誘のバイブルと知る。マジでマルチ勧誘とかいるんだ、と何故か面白くなってしまい、再び彼女と会うことを決意。
それから、様々な本を勧めてくれたり、何度か食事をし、講演会へ行ったお話やすごい精神論、薄っぺらいお話をしてくださった。彼女が今の仕事をやめ、転職したことも知った。数年以内には起業するらしい。だが、決して肝心の勧誘はしてこない。件の本や、師匠の存在、勉強会などあからさまに”それ”であることを匂わせ、”それ”であることはほぼ確実であるのに勧誘をしてこないのだ。
ここで2つの可能性が考えられるな、と思った。
・相手も茶番であり、マルチ勧誘風の女性を演じている。
・収入がない今は興味を引きつけるだけにしておき、就職後に勧誘をする。
彼女がしきりに、「土日休みのところで働いてね」「勤務地は東京にして一緒に勉強しようね」などと言ってきていたのでおそらく後者です。
そう、私はカモ予備軍なのである。もちろんそろそろ縁を切るつもりだが、彼女に付いていき、例の勉強会に行ってしまうと人生が終わってしまうだろう。騙されるわけないと思っている人ほど、うまく丸め込まれてしまうという話を聞いたことがある。関わらないことが一番である。とりあえず、『金持ち父さん 貧乏父さん』を勧めてくる人とは縁を切りましょう。
もう一度書いておきますが、この話はフィクションです。
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