禁煙
タバコを断って、数年経った。
きっかけは、君の
「あなたには長生きしてほしい。」
の一言だ。だから、やめてほしいのだと。
「口が寂しくなるから嫌だ。」
と言うと、
「口が寂しいなら、飴を舐めればいいじゃない。」
と、どこかの王妃の名言みたいに言ってきた。
しかし、習慣とは変えにくいものである。目標も何無いからだ。
そこで僕は、舐めた飴の包み紙で、折り紙をすることにした。これでいくつか貯まったら…なんて、スタンプカードみたいで続けられるだろうと思ったのだ。
そして、その作品を、禁煙の証として君の枕元に置く。
「君も頑張れよ。」
まだ目覚めない君の元に、千羽目の鶴が降り立つ。