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岩手プチ旅:遠野まつりに行ってきた。

この三連休は岩手に行ってました。仕事で郷土芸能について調べる機会があり、たまたま検索結果に出てきたこのチラシに撃ち抜かれたのです。

歳バレを怖れずに言えば、脳内で郷ひろみの「エキゾチ〜ック ジャパ〜ン!」という歌声が天啓のごとく聞こえた感じ。そうだ、遠野に行こう!いやほんと、世の観光協会の皆さんは、チラシやポスターのデザイン気合い入れるといいと思うのです。私のような人がまんまと引っかかるので。

柳田國男の遠野物語を初めて読んだのは、たぶん中学生ぐらいの頃だったと思います。その頃、学校の怪談とか都市伝説のブームがあって、基本的に盛り上がるとのめり込みやすい(※オタク体質ともいう)私は、現代都市伝説では飽き足らなくなり、古典に走ったのでした。

こんな人。

でまたこれが、滅法面白かった。現代都市伝説の怖い話というのは、そこそこ因果関係というか因縁が説明される話がほとんどです。不慮の事故で亡くなった人の霊が成仏できずに悪さをするとか、そういうの。

それに比べると遠野物語に採録された伝承群は、実に唐突に始まってこれといったオチもなく終わる話が多く、教訓めいた意味があるでもないし、ただただ日常と非日常の間の膜が融解しているような不思議な気分にさせられて、ひっそりとワクワクしたのです。

とは言え、その頃はまだひとり旅に出るような年齢じゃなかったので、行ってみたいなぁ、という気持ちは自分の心の中だけで終わっていました。

次に遠野に行きたいな!と思ったのは2007年公開のアニメ映画「河童のクゥと夏休み」を子どもと一緒に見に行った時です。

仲間を探すカッパと人間の男の子の交流を描いた良作で、私はいたく感動したし、遠野物語のことも思い出して息子を連れて行きたいなーと思ったんだけど、いかんせん肝心の息子に、ぜんぜん映画が刺さらなかった。

映画を見に行く少し前に、祖父にもらった水木しげるのカッパの絵本で《カッパ怖い》というイメージが刷り込まれていたのがまずかったのかも知れません。

確かこのお話だった。表紙は違ったような気もしますが…確かに絵だけでもなんかコワイ。とにかくカッパ怖いから行かない、と決然と宣言され諦めざるを得ませんでした。幼い子供に水木しげるを読ませるタイミングは、よくよく考えたほうがいいかも知れません…

ともかく、そのうち息子も大きくなって家族旅行なんか行かなくなってしまったもので、しばらく忘れていたのです。

そんな私に訪れた三度目のチャンス。これは行かずばなるまいて。というわけでチラシのPDF見たその日から宿を探し始め、遠野はどこもいっぱいで一名の宿はとれなかったものの、花巻と北上のリーズナブルな宿をおさえることができたので、勢いのまま行くことに決めてしまったのです。

さて、どうやって東北に行くか?

今回、私が遠野行きに使ったのは、JRの三連休パスです。三連休の三日間連続で、JR東日本とJR北海道函館エリアの在来線指定区間が乗り放題、指定特急券買い足して新幹線指定席にも乗れる優れもの。

フリーエリアはこんな感じ。

差額は要りますが新幹線が自由席オンリーじゃないので、時間が有意義に使えます。お値段14050円東京ー新花巻の片道乗車券が7880円ですから、この距離なら新幹線の往復だけでもお得

東京からの東北行きだと、JRは「週末パス」という土日二日間有効のパスをやたら宣伝してるのですが(一泊二日8730円だから、これも超お得)、三連休パスの方はポスターやチラシもないし、自動販売機のおトクなチケットの選択肢に出てこないし、それっぽい広報はJRのサイトにプレスリリースが出たっきりで、本当に売ってるのかどうか心配だったんですが、みどりの窓口行ったら普通に買えました。

さて、土曜の朝9時前に東京を出るやまびこ号でまずは新花巻へ。この電車、真ん中らへんで2つの新幹線がドッキングしてるので面白いです。所要約3時間なので、朝ごはんのサンドイッチを食べ、車内販売のとちおとめアイスもご機嫌で食べて、観光情報を検索してる間に新花巻に着きました。

駅名板がなんか可愛い。花巻市はひたすら宮沢賢治・銀河鉄道の夜推しです。新花巻からは釜石線に乗り換え。ここは少し駅が離れているので、駅を出てから二、三分歩きます。

こんな屋根付き通路を通って、地下道みたいなとこを潜って階段を上がると釜石線のホームに着きます。釜石線ホームには、ジュースの自販機はありますが、無人駅でトイレなどはないので要注意。

待合室とか自動販売機のラッピングも全部、銀河鉄道推し。可愛い。

着いてびっくり、ホームからは人が溢れんばかりになってました。まずホームへの階段が登れないほど。なんかの間違いかと思いましたが、電車着いたらみんな乗ってました。三両編成のローカル線で混んでて座れなかったの初めてです。外人さんも多かったし、エキゾチック・ジャパンに撃ち抜かれたの私だけじゃなかったんだな。

電車はこんな感じのワンマンなんですが。

快速だったので、40分強で遠野に着きました。鈍行だと1時間弱。遠野は花巻と釜石とのちょうど中間あたりにあります。着いたらちょうど、ホームにSL銀河が停まってて、写真撮りたい人たちでごった返してました。

後から知ったんですけど、これ毎日運行してる訳じゃないので、ホームにいるとこ見られたのはわりと運がよかったんですねぇ。得した気分です。

かくして民話のふるさと、遠野に到着

電車がやたら(ローカル線にしては)混んでたので、こりゃ町は大混雑かも知れないぞ…と思ったのですが、駅降りたらそうでもありませんでした。

駅舎では何故かリカちゃん人形がコスプレ姿でお出迎えしてくれました。

昼過ぎだったので腹ごしらえしたかったのですが、なんせ町をあげてのお祭りで、事前に調べて行こうかなーと思ってた店が、軒並み臨時休業だったり早仕舞いだったり団体貸切だったりで、仕方ないのでお祭り屋台のチーズホットクとか唐揚げとか食べながら、駅前のメインストリートでの郷土芸能パレードを見にいきました。

チラシにはこの「てんぐ」やら「おしら様」の意味が書かれてないんで、正直なんのことやら…だったんですが、通りの中でのエリア名でした。このお祭り、とにかく町内で同時多発的に郷土芸能やってるので、「ナントカ保存会の皆さまは、カッパにお集まりくださーい」みたいな感じで使われます。

おそらくここがセンターステージという観覧席前の歩道も昼過ぎには空いてたので、買ったばかりの新装備のコレ↓を使って座ってみてました。

ドッペルギャンガーの折りたたみ椅子です。ペットボトル一本より軽いぐらいの重さで、簡単に広げたり閉じたりできます。使わないかも知れないけど、軽いしまぁ持って行ってみるか、ぐらいの軽い気持ちで荷物に入れたのですが、大活躍でした。

少し座面が小さいので、大柄な男性とかだと長時間座ってると金具が当たってお尻が痛くなるかも知れませんが、女性や子供なら問題なく使えると思います。脚部に滑り止めもついてるし安心。お値段も手頃。

ちなみに地元の人たちは、自宅から椅子とか踏み台とかピクニックシートをもってきてる感じでした。

いよいよ郷土芸能見物です。

郷土芸能は、郷ごとに違う保存会があり、それぞれ衣装も異なりますが、総じて派手で可愛いです。ハレの感じが伝わってきます。

これが遠野のししおどり。獅子のドレッドヘアみたいなのは、木をかんなで削ったもので、毎年つけ足していくそうです。

ゆったりとした南部おどり

勇壮なししおどりも間近で見られます

なんかめっちゃそのものズバリの神輿が通ったり…

遠野保育園のちいさなお友達による踊りの披露があったり…

餅まきがあったりします。

お餅ダイレクトキャッチできたので、たぶんいいことがある。

夕暮れ近くになると、市庁舎前の広場で神楽の競演会が始まります。これが目当てで行ったのですが、こっちの会場はお年寄りが多く椅子も沢山あって快適。

市内のカフェが出してる出店のタイ風チキンが美味しかった。その場で絞ってくれる生グレープフルーツサワーも。

神楽はどの保存会も後継者不足に悩んでいるようで、舞い手の上手い下手はかなりバラつきがありましたが、ストーリー性のある演目も多く、楽しめました。

神楽連ごとに後ろに吊るす幕を持ってるので、そのデザインも見比べると面白い。

ここの四人鶴舞は上手かったなぁ。早池峰神楽。こういうのやってる脇で、ししおどりの人たちがお店の前で舞を披露してたりするので(スポンサーへのお礼かな?)、どこ見たらいいのか、って感じになります。慣れた人は目当てのチームや舞い手さんを追っかけてるんだと思いますが、なんせ初めての私には見るもの盛りだくさんで、キョロキョロしちゃいました。

そうこうしてるうちに、またメインストリートで郷土芸能の披露が始まります。日中のパレードでは中高生なんかも混じってて、それはそれで微笑ましいのですが、夜は舞い手が基本的に大人ばかりになるので、迫力と舞い手の上手さが圧倒的に違います。

沿道の混雑度も日中の倍ぐらい。たぶん神楽やってる間にこっちの沿道の席取りすべきなんだなー。TDLのエレクトリカルパレードの場所取り豆知識みたいですね。ひとり旅では難しいですが、家族旅行に行く方は参考にして下さい。

迫力満点

祭りの盛り上がりも最高潮といっあところなのですが、遠野の宿がとれなかった私は、8時26分発の最終電車で花巻に戻らねばなりません。無念。次は早めに町内の宿をとろうと思いました。お祭りの夜だけでも臨時列車出してくれたらいいのになー。

とっぷりと暮れてから花巻駅に到着。花巻駅から徒歩4〜5分くらいのことに、未来都市銀河地球鉄道壁画、という謎の観光名所があります。夜しか見えない壁画で、暗くなってから花巻に着いた人だけのお楽しみ。 せっかくなので、ホテルとは反対側でしたが見に行ってみました。

正直ぜんぜん期待してなかったんですが案外綺麗でした。車停めて見物してるお客さんも結構大勢いました。

花巻駅東口駅前には一軒だけ小さな居酒屋が開いてましたが、翌朝もわりと早いので大人しくホテルにチェックイン。花巻駅は本当に小さいので、夜中に到着する人は、コンビニとかでの買い物は、大きな駅で済ませて来る方が安全です。ホテルのバーも22時前に閉店だったので、私はお祭りでもらったお餅をお夜食に食べてました(^_^;) 柔らかくて美味しかったです。

今回は事前にろくにガイドブックも読まずに来てしまったので、泥縄ですがこんな本を買いました。次行くときは予習して、お目当ての団体の目星つけて見に行きたいです。本の下に敷いてるのは遠野の方言手ぬぐい。方言手ぬぐいは、近頃旅先で見つけるとつい買っちゃうグッズです。

1日目はこんな感じでした。2日目に続きます…たぶん。

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