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上五島の旅:小値賀島に行ってきた。(1日目)

きっかけはスコセッシが映画化した遠藤周作の小説「沈黙」で、あの映画のロケ地の大半は実は台湾なんだけど、潜伏キリシタンの暮らした島を実際に見てみたいと思ったこと。そこから色々検索して今回の旅の目的地である小値賀島、野崎島を見つけた。

いろんな島の中からここを選んだ理由はちょっと忘れてしまった。たぶん、無人島化した野崎島の旧野首教会の写真に惹かれたんだと思う。

世界遺産に登録された長崎・天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の教会群は他にも沢山あって、スタンプラリーができるほどだけど、私の場合は教会建築よりキリシタン島そのものの雰囲気を感じてみたいという目的の方が大きかったので、現役の集落にある現役の教会を見に行くより、無人化した島と今はもう使われていない教会、という組み合わせのほうが、旅のイメージに合ってた。

調べてみると、まず小値賀島が遠い。福岡から夜行のフェリーで一晩かけて行くか、佐世保からフェリーで3時間強。あとは上五島の別の島から移動という手もあるんだけど、車の運転ができない私には、長崎から入航する港と出航する港が別というのがネックで、先に別の島に渡るルートはやめて、佐世保から愚直に島を目指すことにした。

こんな感じの距離感。

なお、島へのアクセス方法など相談したい人は小値賀アイランドツーリズムというとこに問い合わせればいい。ここは民泊の紹介や古民家ステイなどもやっている。ホームページも綺麗。野崎島に渡るには事前にこの団体に申し込む必要がある。トレッキングなどに参加せず上陸するだけでも事前受付は必要。

上五島列島は台風がくるとすぐ孤立してしまうので、台風シーズンが確実に終わると思われる10月末か11月初旬に行きたかったんだけど、あいにくそのへんが仕事のピーク。日程は結局11月末に落ち着いた。野崎島ありきなので、初九州なんだけど本土の観光は考慮せず。

春頃からそんな計画を練り練りしていたのだけど、その矢先の世界遺産登録決定で「うわー、こんなの登録されたらあっという間に観光地化されちゃう」と慌てて、宿も野崎島でのガイドツアーも、かなり早めに申し込んだ。

でも実際に蓋を開けてみると11月は流石にシーズンオフで観光目的の人はほとんど来ないらしい。申し込みの段階では2名から催行のトレッキングに申し込んだのが私一人で、最悪通常の倍の値段払って行くことになったので、ひとり旅の辛いとこがでた(>_<)、という感じでドキドキしながら待った(なお小値賀アイランドツーリズムの人からは「直前に申し込まれる方もいますので」と言われ、実際には世田谷から来たというご夫婦と一緒だったので通常のお値段でした)。

とにかく初日は飛行機で長崎へ向かい、そこから佐世保に直行、フェリーで小値賀に移動して夜遅くに宿にチェックイン。万一の悪天候に備えて翌日、翌々日を野崎島アタックの候補日として、最後の日に軽く佐世保を見て長崎→東京へ帰る、という予定を立てたので、結局小値賀島には3泊。なかなかゆったりした島滞在に。

お世話になったのは3泊とも島宿御縁さんという比較的新しいゲストハウス。港から徒歩10分弱ぐらいの高台にあって海も見える清潔な宿。ドミトリー型の部屋とバストイレつきの個室があって、私は快適性重視で個室にしたんだけどファミリーで泊まってもゆったりじゃん?という広いお部屋で快適だった。

タオルやドライヤーもついてるし、多分ハイシーズンだと一人旅ではこの広いお部屋とれないんじゃないかなー。ビバ・オフシーズン。この季節は仕事で長期滞在する人が多いそうです。あとは釣り客かな。夏は海外からもバックパッカーが訪れ、テラスでバーベキューなどもするそう。

宿に隣接してご主人のお母さんが経営するカラオケバーがあって、最後の日に寄ったら地元の人たちも、お酒飲みに来てた。小値賀の笛吹集落では夜遅くまであいてる店がほかにも2〜3軒あるので、離島にしてはナイトライフも楽しみやすいところ。

話を戻して長崎から佐世保に着いたあと。小値賀へのフェリーまで2時間半ほど時間があったので、乗り合いタクシーで臨席だった帰省の親子連れの方に港近くで一番美味しい佐世保バーガーの店を教えて欲しいとお願いしたら、ご一緒しましょうと言ってくださったので、お言葉に甘えBIG MANというバーガーショップに連れていっていただいた。

日本一長いアーケードという四番町アーケードの先にあって、休日には行列できる店だそう。直後に船乗るし、ちょっと控えめにスタンダードのバーガーにしたんだけど、ベーコンが美味!しっかり焼いてあるのにパテがパサついてなくて、さすが出来立て♪という感じで美味しかった。

港近くなら老舗のヒカリも有名だけど、女性には少し厳しいサイズかも…とのこと。色々教えていただいて助かりました。届くかどうかわからないけど、あの時のお母さまと息子さんの二人連れの方、本当にありがとうございました!

佐世保はもう一つ、駅から徒歩圏内にある三浦カトリック教会というとこも見学してきた。私は実家の両親プロテスタントの教会に所属してたのでカトリックの装飾的な教会は新鮮。少しじっくり眺めていたら、教会のシスターに声をかけていただいて、コーヒーとクッキーをご馳走になりながら最近の奇跡的な出会いのお話なんかを聞いてきた。

三浦教会は真っ白な教会で、晴れてたらくっきり青空に映える感じだけど、戦争中は空爆されないように黒く塗ってたんだそう。

行きたかった喫茶店が定休日だったので、シスターとのお茶タイムが挟まってちょうどいい感じに船の出航30分前ぐらいに。

離島行きのフェリーターミナルは佐世保のメインのターミナルより少し駅から遠いので、いく人は要注意。チケットも窓口発券なので、あまりギリギリだと行列になる。

11月は船のドック入りの季節で船や運行時刻が普段と違うこともあるので、よく注意してフェリー会社のホームページ見ておかないと島に入れないことにもなる。なんせ便数が少ない上に外海で波が荒く、高速船はしばしば欠航するので。

天気が良くても風が強いとダメなのだ。現に私が島に入った翌日は、強風で隣の島への定期船全部欠航してたし、高速船が欠航したので佐世保に帰れなくなったという人が急遽宿に泊まってた。予定していた小値賀入りがダメになった人もいるだろうと思う。

台風シーズン避けてもこういうリスクがあって、その辺がどうしても離島への観光のハードルを上げてしまうのだろうなあ…私は最近の自分の晴れ女パワーに賭けてましたが。でも念のため佐世保港の宿もギリギリまでおさえてはいた。

逆に、島にさえ入れてしまえばなんとかなる。自分が帰れないということは、来るはずの人が来られないということなのでどっかしらには泊まれる。宿がなくても、まぁ観光協会とか船会社にでも相談すればどうにかなる。こういうシチュエーションは島の人たち慣れてるから。ということがわかってれば、島旅に挑戦する人増えるんじゃないかなぁ。どうかしら。

なお、フェリーのほうが波の影響を受けにくく高速船よりは止まらないそう。

酔うかも…と思って二等指定をとったんだけど、蓋開けてみたら指定券は団体さんと私しかいなくて、ひろーい二等室にひとりぼっちだったので、テレビで居酒屋兆治の再放送とかみて、たまにSNS更新したりしてた。

段田安則が若い!まだ夢の遊眠社があった頃かしら。片桐はいりとかも出てた。懐かしい。

二等の普通席はそこそこ人が乗ってたけど、宇久で降りた人が多かったみたい。フェリーは酔う、酔うという話ばかり聞いてたので、一応酔い止め飲んだり警戒してたけど、酔い止めが効いたのかそもそも大丈夫なのか、全く気持ち悪くならなかったので、次はもっと長距離でも行けそうな自信ついた。高速船はもともと酔わないほうだし。

外も真っ暗でなんも見えないので退屈するカネゴン。

夜8時過ぎ、少し雨のぱらつく小値賀港に着く。宿のご主人が車で迎えに来てくれた。

晩ご飯は宿のとなりのカラオケバーをあてにしてたんだけど、私が到着した水曜日はたまたまカラオケバーがお休みだったので、とりあえずこの時間であいてる店!ということで「おぢか」という日本料理系の居酒屋さんに連れていかれた。

宿のご主人は私を店まで車で送ると帰っちゃったので、オフでその店で飲んでた宿の調理師のU君(東京からの移住組)と何故か並んでお酒のんで晩ご飯食べることに。

おぢかの大将は大阪などで修行してから島に戻り、去年店を開いたばかりだそう。若い料理人さんだけど、新鮮なお刺身はもちろん、焼き物も美味しい店だった。最終日にもう一度行こうとしたら予約でいっぱいだったので残念。また行きます。

おぢかが閉店したあとは、隣のバー谷商店で、U君とおぢかの大将の3人で並んで酒を飲む、という更に不思議なシチュエーションだったんだけど、話してたら私が大学生時代にフランス語の講師をしていた調理学校でU君が学んでいたことが判明したり(時期は少しズレていたので直接の教え子ではなかったのですが)、意外な縁があって面白かった。

バーからの帰り道はU君が宿まで連れて帰ってくれたんですが、深夜になってたので、そういや部屋の鍵は持ってるけど、宿の玄関の鍵どうなってるんだろ…と思ったら「たぶん普通にあいてますよ」と言われ、あぁあそうだ、離島だったわ!ってなった。

「夜道もほんとは女性一人で歩いてもたいして危険じゃないんですよ、人いないから」とU君。確かに都会の深夜の女性の一人歩きで何が怖いかといえば、お化けでも野良犬でもなく人間だ。その点、これぐらい他所から離れた離島では見知らぬ人が島に入り込む手段がほとんどない。

この翌々日に町営船で会った島の青年にも「一昨日の夜のフェリー乗ってましたよね」と言われたぐらいで、住民もよそ者も、だいたい顔バレしている。小さな島で悪いことすればすぐにバレて見つかるから、住民同士で泥棒なんかしないんスよ、というU君の説明にひどく納得してしまった。

周りが海なので山の中の集落みたいな閉鎖感はないんだけど、要は島をでたら海しかないとこにいるんだな。瀬戸内海あたりの島と島の距離が近い島嶼部とはやはり少し何か違うのだなぁ、というのを実感した。島民が皆で助け合わないと行きていけないのが島だし、だからプライバシーの垣根も低い。物々交換なんかも普通にあるのだそう。こういう暮らしをよしとするか、息がつまると感じるかは人にもよるのでしょうが…

ちなみに旅人としての私は、大金も持ってないし、生まれて初めて行った離島の宿が玄関どころか自分の部屋にも鍵ついてなくて、食堂の泡盛何時でも飲み放題だから夜は宿泊客じゃない地元のお兄さんたちが飲みに来てるし、帰るときは危うく宿代請求されずに帰されるとこだった、みたいなゆるーいゲストハウスだったので割と平気です。

ていうか玄関の鍵あいてるなら私いつでも適当に一人で帰れたのに、オフの日の夜遅くまで宿のお客の知らないおばさんの相手して宿まで連れてかえってくれたU君、お休み邪魔して申し訳なかった(>_<)

でも若い人たちから、島の日々の暮らしの話とか、これからどうやって島に若者を定着させるかみたいな真面目な話もきけて興味深かった。U君も大将も、色々ありがとうございましたm(_ _)m

夜道をプラプラ歩いて宿にもどり、無事に鍵あいてた玄関から自分の部屋に戻って1日目が終了。ひとり旅だけど長崎空港についてからは知らない人とお喋りしてばかりいた感じだったので、基本的に移動日だったけど、なんだか充実感あったなあ。

可愛いマンホール。でも小値賀島には鹿はいないのだ。野生鹿が沢山いるのは野崎島のほう。代わりに小値賀には牛がいる。

2日目以降の記録はまた次の機会に。

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