40歳で歯列矯正した私の明るい10年後
下の歯並びの悪さが、長年コンプレックスだった私。しかし、歯列矯正を勧められることはなく、歯科医院で治療のついでに相談しても「気にするな」の一言で片づけられていました。
でも、パンやチーズを噛んだ後の歯形を見るたびに悲しい気持ちになっていたし、歯に食べ物が挟まるのはストレスでした。
歯列矯正にはもちろん興味がありました。しかし調べてみると、治療を巡りトラブルに発展することもあるそうで、一歩を踏み出せずにいました。歯列矯正のために、悪くない歯を抜かれるのは嫌ですから。
そんな私に、40歳を前に新規で検診に訪れた歯科医院で転機が訪れます。
その日は検診が終わり歯科衛生士に
「歯列矯正をすれば、食べ物が挟まることが少なくなり虫歯のリスクを減らせますよ」
と言われました。
はい?今なんとおっしゃいました。
「歯列列矯正できるんですか。していいんですか?!」
と、興奮気味に返すと
「はい。まずは無料の矯正相談を受けてください」
と冷静に返されました。
日を改めて、矯正相談に。矯正専門の歯科医師が、矯正の必要性や治療方法と期間、金額などを教えてくれました。
歯列矯正というと、子どもがするものというイメージがあり、大人がやろうとすると「芸能人になるわけでもなのに」と良い顔しない歯科医師もいると聞いていました。その不安をぶつけると、
「今は大人になってから矯正する人も多くおられます。ただ、矯正に理解が低い歯科医師がいることも確かです」
そうか、ひと安心。
ただ、私にはもう一つ気になる点がありました。実は、顎関節症なのです。素人考えで、歯列矯正によって顎の歪みが酷くなるかもしれないと心配していました。それも伝えると、少し難しい顔をして
「歯列矯正によって顎の歪みが改善する人もいれば、そうでない人もいます」
とのこと。
五分五分ってこと?でも、定期的にカイロプラクティック行って、セルフケアもしているから、何とかなるんじゃないかなと、楽観的に考えることにしました。
それに、この機会を逃したら次はないかもしれないとも思い、夫と相談して歯列矯正をすることにしました。
矯正当日。私はワイヤー矯正(表側)を選びました。装着時は痛いと事前に伝えられましたが、これが本当に痛い。最初の数日は、まともに食事ができなくて体重減りました。
そのうち、就寝時に歯が動くような感じがして、最初は驚きましたが、鏡を見ると歯並びが少しだけど整っていました。
治療は最初は1月ごと。歯が動いていくのでその度にワイヤーを交換します。ワイヤーを外したときは、解放感でいっぱい。でも、またすぐ新しいワイヤーを付けられるのですが。
これを繰り返して、治療の間隔も少しずつ空いていくと、重なり合っていた歯が整然と並んでいきました。このころは鏡を見て、「イーッ」とやるのがうれしかったです。悲しいことや嫌なことがあったときも、「ほら、私の歯並びはこんなにキレイ。だから元気だそう」と、自分を励ましていました。
ちなみに白いワイヤーを使ったため、矯正器具はそれほど目立ちませんでした。
私の場合1年弱で治療は終了。最終治療のとき歯の裏側にワイヤーを付けてもらいました。40歳を過ぎると、歯の間に隙間ができやすいのでそれを抑えるためです。
それから10年以上が経ちました。歯の裏側には今でもワイヤーが入っています。そこに、食べカスが溜まりやすいので、歯間ブラシで常に手入れをしています。もちろん、定期健診も欠かしません。時には小さな虫歯も発見されますが、歯のトラブルはなく過ごしています。
顎の痛みや歪みも、ありません。カイロプラクティックの受診とセルフケアもしっかりしていますが。
本当に治療して良かったと思います。
あのとき、歯列矯正をすすめてくれた歯科衛生士に感謝しています。
もう少し早く治療していればと思うこともあったけれど、医学が進歩して大人の矯正にも理解は深まった時期だから、できたのかもしれません。
最後にこれから歯列矯正を考えている人に、アドバイス。
「日本矯正歯科学会認医」が治療を担当している、歯科医院を選んでください。前述のように、歯科医師でも歯列矯正に関する考え方は分かれます。認定医が在籍している歯科医院は理解があるはずです。
そして、歯列矯正を始めるのに遅いことはありません。実際治療中大人と何人も出会いました。迷ったら、相談して下さい。
歯列矯正をしてもらった歯をこれからも大切にして、死ぬまで自分の歯で食べられるようになるのが私の目標です。