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大興奮の美術品オークション(アノニム)

アノニム / 原田 マハ

 『実際のオークションもこんなにハラハラするものなんだろうか?』

 と、物語の後半、美術品オークションで繰り広げられる駆け引きや、数秒ごとに巨額が動く闘いには、ほんとうにハラハラドキドキさせられました。

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 床に置いたカンヴァスを俯瞰し、動き回りながら絵を描くーアクション・ペインティングーという新しい表現手法を生み出した、ジャクソン・ポロックをモチーフとした小説。

 わたしが読んだことのある原田マハさんの長編美術小説とは少し毛色が違い、有名アーティストを題材にしながらも、”謎のアート窃盗団”と”アーティストを夢みる無名の高校生”が活躍する物語。

 なぜアート作品の窃盗をしているのか、なぜ無名の高校生に重要なミッションが与えられるのか、それももちろん気になるけど、この小説で一番興奮したのが、史上最高落札価格が噂されるジャクソン・ポロックの未発表作品を巡るオークションの場面。

 わたしの中の美術品オークションは、テレビで見る市場の競り(魚とか)を大金持ちがやっているイメージ(すみません)。
 でも小説で語られるのは、オークション会社やクライアント、コレクターたちの心理的な駆け引きや、数秒ごとに100万USドル(1ドル=150円だと1億5千万円)以上が動くドキドキの展開。
 有名なアーティストの作品であれば、実際のオークションも同じように興奮する場面が見れるのかなと、生涯でオークションに関わることは一度もないであろうわたしでも、参加している気分を味わえる作品でした。


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