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新人自主トレの思い出

プロ野球では2月1日から春季キャンプが始まります。

その前の1月は特に話題がなく、新人自主トレの様子が報道されます。

新人自主トレは多分、どこの球団も2軍の球場付近で行われます。
我がスワローズだと戸田の2軍球場。

毎年、報道されるので一回行ってみたい、と思い、7年くらい前?に行ってみたことがあります。原樹理とか廣岡大志とか山崎晃大朗が新人だった年です。

電車とバスを乗り継いで、クソ寒い中戸田の荒川のどで近くのグラウンドにいってみると結構ファンが集まっていました。

しばらくすると、名前入りのビブスを着たルーキーがスワローズの寮の方向から歩いてきて、練習(ランニングとか)を始めます。それをただ眺めるファンたち。

おぉ、これが新人自主トレというものか。自主トレって言うけど、トレーナーとかめっちゃいるじゃん。

というのは、最初の数分で、立ってみてるだけだととにかく寒い‥。

すると、新人とは、別のところで1人練習している人がいました。他のファンの会話を盗み聞くと、寺田、というのが聞こえました。

寺田とは、寺田哲也投手。スワローズファンでも詳しい人じゃないと知らないような選手でした。多分、当時2年目か3年目。でもオールドルーキーなんですよね。だから20代後半。

1人でネットに向かってボールを投げ始めた寺田。一山投げ終わると球をカゴに戻して、ネットからの距離を広げてまたネットスロー。これの繰り返し。

気がつくとすごい距離になっていました。けっこうな距離のネットに向かって投げられた球はきちんとネットに収まります。プロだったら簡単なのかはよくわかりませんが、素人の僕からしたらスゲー、の一言です。やっぱりコントロールいいんだなぁ。

振り返ると、新人自主トレは終わっていてサイン会が始まっていました。

はい、おしまいでーす。という声でサイン会が終わって引き上げるルーキー達&ファンの皆さん。

僕は居残って、寺田のネットスローを見ました。

寺田の他には誰も練習していない。練習パートナーもいない。

ファンもほとんど帰っちゃった。

ちやほやされるルーキー時代は終わって、粛々と練習をする寺田。

結果を出さないといけないシーズンに向けて孤独に準備をする姿がなんとなく寂しいような、それでいてかっこいいような‥。

最後まで見ていたかったけど、寒すぎてギブアップ。バスの時間を見て、頃合いを見計らって帰りました。

寺田、頑張れよ、なんて思いながら。

残念ながら寺田投手はその年、ちょっとだけ一軍で投げたんですけど、先発した試合でパカパカ打たれて、ノックアウト。テレビで観ていて、あんなにすごい技術があるのに‥、頑張ってたのに、と哀しくなりました。

結局、寺田投手はその年の終わりに戦力外になってしまいました。

寺田投手、今何をしてるか、分かんないですけど、幸せに暮らしていれば、いいな、と思います。


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